新千歳の国際線貨物復活へ、HAPが着陸料免除

2020/7/16 1:00
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新型コロナウイルスの感染拡大により国際線の運休が続く新千歳空港(北海道千歳市)で、海外航空会社の旅客機を使う臨時の貨物便が運航を始めた。空港の経営を引き継いだ北海道エアポート(HAP、同市)が航空会社の支払う着陸料を全額免除し、道産品の輸出を後押ししている。

7月10日、新千歳空港の国際線駐機場に中華航空(台湾)の旅客機1機が到着した。機内に乗客はいない。職員らは機体下部の貨物室に続々と積み荷を運び込んだ。この日積まれたのはホタテやカニといった海産物やメロンなど、約30トン。機体の貨物室は満杯となり、飛行機は程なく台北へ向けて飛び立った。

HAPは新千歳での貨物の輸送体制を維持するため、本来なら航空会社がHAPに支払うべき着陸料や停留料、保安料を6~7月末まで全額免除する制度を導入した。機材や貨物量によって異なるが、航空会社は貨物便1機当たり30万~40万円が免除されている。

着陸料免除の第1号として香港航空が7月15日までの約1カ月間、新千歳―香港間で旅客機による臨時貨物便を週3便運航。ホタテなどの生鮮品を輸出した。

第2号となった中華航空もこの制度を活用し、7月末まで新千歳―台北間で週1便の貨物便を運航する。約4カ月ぶりの運航となった中華航空の札幌支店旅客営業部、後藤弘一さんは「補助がなければ運航にこぎつけられなかった」と話す。

これまで新千歳から海外に輸出する貨物のほとんどを旅客機の下部に積み、旅行者と一緒に運んできた。近年はホタテの輸出が好調。国際線の増便を追い風に、18年度は2万トンを超えるなど貨物量が順調に増えていた。

新型コロナウイルスの感染拡大は観光客だけでなく、貨物便の輸出にも深刻な影を落としている。新千歳では3月下旬から国際線定期便の発着便がゼロになり、ターミナルビルへとつながる通路に人影はない。貨物便で海外に運ぶ場合はいったん羽田や成田に運んで通関手続きをしており、コロナ禍では新千歳で扱う貨物量が激減した。

新千歳からは国際線定期便が全便運休または撤退し、国内線も減便が続く。同空港を6月に完全民営化したHAPにとって着陸料収入がないのは痛手だが、営業開発本部の菊辻龍太部長は「旅客便が戻った後に貨物輸送が今のまま成田や羽田経由で固まってしまう恐れがある」と説明する。国際線の運航が復旧した後を見据えている。

道内の生産者や企業にとっても、直行便なら他の国内空港を経由して輸出するより短時間で運んでもらえるメリットがある。輸送にかかる費用も直行便なら負担が少ないが、「今後の貨物便はまだ満載になっていない」(中華航空の後藤さん)のが現状。今後はどこまで生産者に存在をアピールできるかが定着に向けてのカギを握る。

HAPも期間限定とするはずだった着陸料免除制度を8月以降も継続するか、社内で検討を始めている。今後の国際線の復旧見通しを踏まえ、走りながら考える局面は当面続きそうだ。

(塩崎健太郎)

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