日米欧中銀、長期戦にらむ 日銀、資金繰り支援を継続

2020/7/15 21:00
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金融政策決定会合後に記者会見する日銀の黒田東彦総裁(代表撮影)

金融政策決定会合後に記者会見する日銀の黒田東彦総裁(代表撮影)

日銀は15日の金融政策決定会合で新型コロナウイルス対応の大規模な金融緩和政策の維持を決めた。景気は2020年後半から回復するとの基本シナリオを維持した。国内外で感染者が再び増え始め、経済活動が鈍る懸念もある。米欧の中央銀行と同様にコロナ対応が長期になる事態に備え、追加策の必要性を慎重に探る。

「一連の対応は効果を発揮している」。日銀の黒田東彦総裁は15日の会合後の記者会見で、政策を据え置く理由をこう説明した。

日銀は3月以降、上場投資信託(ETF)や社債などの購入枠を拡充した。金融機関向けに有利な条件で貸し出しの原資を供給する制度も作った。市場安定と企業の資金繰り支援を柱とするコロナ対策を講じてきた。

6月末時点の日銀の保有資産残高をみると、コマーシャルペーパー(CP)は4.4兆円とコロナ危機前の2月末から倍増し、社債も4.1兆円と2割強増えた。CPや社債の金利上昇は一服し、企業が発行しやすい環境になっている。全国の銀行・信用金庫による貸出平均残高をみても、6月は前年同月比6.2%増と過去最高の伸びだ。

黒田氏は「企業の倒産は今のところ非常に少なく、失業率も他国やリーマン危機時に比べるとよい状況だ」と指摘した。「政府の大規模な支援策と相まって、日銀の政策も一定の貢献をした」と手応えを示す。実質成長率の見通し(中央値)も20年度は前半の低迷が響きマイナス4.7%に沈むものの、21年度からプラス成長に戻る想定を維持した。

コロナ対策の効果を見極める局面に入ったのは米欧中銀も同じだ。

積極的な資金供給や資産購入に動いた米連邦準備理事会(FRB)の総資産は6月10日までの約3カ月間で66%増と急速に膨らんだが、その後は4週連続で縮小している。市場でドルの調達不安が後退し、日銀を含む海外中銀を通じてドル資金を供給する枠組みの利用が減っているのが大きい。民間銀行の中堅・中小企業向け融資債権の大半を買い取る仕組みなども本格稼働はこれからだ。

6月上旬に国債などの資産購入枠を大幅に拡充した欧州中央銀行(ECB)も総資産の伸びは足元で緩やかになっている。ラガルド総裁は今月、英フィナンシャル・タイムズ(FT)のインタビューで「我々は経済データを注意深く評価する十分な時間がある」と述べた。16日に理事会を控えるが、市場で追加緩和観測は高まっていない。

日米欧中銀が注視するのは、景気がどの程度の勢いで持ち直すかだ。

米国では新型コロナの感染拡大が止まらず、店舗の営業停止など経済活動を再び制限する動きが各州で出始めている。日本でも7月に入って東京都内を中心に高水準の感染者が出ている。

黒田氏は会見で、日本の感染状況は「第2波というほど大きなものにはなっていない」との認識を示した。ただ景気回復のスピードについては「足元は急だが、その後は緩やかになる」とみる。対面型のサービス業を中心に経済がコロナ以前の水準に戻るには時間がかかるとして「資金繰り支援はまだかなり続ける必要がある」と語った。

コロナの感染状況と経済・市場動向をみながら「必要があればちゅうちょなく追加緩和を行う」という警戒モードは当面解けそうにない。

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