環境優先の企業、4億人弱の雇用創出、WEF予測

2020/7/15 18:55
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【ジュネーブ=細川倫太郎】世界経済フォーラム(WEF)は15日、自然環境を最優先する企業経営が広がれば、2030年までに世界で計3億9500万人の新規雇用を創出できるとの報告書をまとめた。環境負荷の低い都市環境の整備などで新たな仕事が増えると予測している。

再生可能エネルギー分野への投資が相次ぐ(フランスの風力発電)=ロイター

新型コロナウイルスで企業収益は大きな打撃を受け、20年の世界経済は大幅なマイナス成長になる可能性が高い。報告書は環境配慮の経営がビジネスや経済の回復力を高めると指摘し、グリーン経済への転換が成長を後押しするとみる。具体的には食料や土地、インフラ、エネルギーの3つの分野で青写真を示した。

例えば、照明や空調を集中管理して省エネを実現するスマートビルや住宅の整備などで、30年までに1億1700万人の雇用を生み出すことができると予測した。太陽光や風力など再生エネルギーの成長も著しく、各国では大規模な投資も相次ぐ。再エネの拡大策による雇用効果は、数百万人規模にのぼる可能性があるとしている。

環境問題への対応は、収入拡大やコスト削減に直結し、計10兆ドル(約1072兆円)のビジネスチャンスになり得るとも分析している。

農業ではビッグデータ分析などを使い、二酸化炭素(CO2)濃度や肥料を適正管理する手法に注目が集まっている。報告書では大規模な農場で最先端技術の活用が進めば、今後20年間で生産力は4割高まると試算した。ビルでは、照明を発光ダイオード(LED)や自然光に切り替えるだけで、30年までに年6500億ドル以上節約できると予測している。

ビーガン(完全菜食主義者)の増加など食生活の多様化も進んでおり、食の分野の成長余地も大きいとみる。ネスレ(スイス)など世界の食品大手や新興企業は植物由来の成分でつくった人工肉事業に注力し始めた。欧州ではビーガン向け専門店が増加しており、競争が激しくなっている。

WEFは毎年1月にスイス東部で「ダボス会議」と呼ばれる年次総会を開催している。世界の政治家や経営者、若手リーダーら約3000人が参加し、気候変動や経済格差など国際社会に山積する課題を議論している。ただ、次回、21年1月のダボス会議は新型コロナの影響で規模を縮小する可能性がある。

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