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首都圏の20年1~6月マンション発売、初の1万戸割れ

東京都江東区の高層マンション

新築マンションの発売が歴史的な低水準に沈んだ。不動産経済研究所(東京・新宿)が15日発表した1~6月の首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)の発売戸数は前年同期比44.2%減の7497戸だった。統計を取り始めてから、上半期で1万戸を下回ったのは初めての事態だ。

新型コロナウイルスの影響で外出自粛が広がり、不動産会社は売れる可能性が高い物件に販売を絞り込んだ。秋商戦で挽回を目指すが、一部では新築戸建てに活路を求める動きも出ている。

「特殊要因しかない」。不動産経済研究所の松田忠司主任研究員は減少要因を、端的にこう述べた。新型コロナの余波を受けて4月に686戸、5月に393戸と、1973年に調査を開始してから単月での過去最少を更新し続けた。多くのモデルルームが営業を自粛した影響が大きく、緊急事態宣言が解消された6月も苦戦が続いた。

1~6月の実績を地域別にみると東京23区は29.6%減った。埼玉県が74.8%減、神奈川県で53.1%減と全地域で大幅に減少している。その結果、首都圏の供給戸数に占める東京23区の比率は51%まで高まった。

バブル期はマンション価格が上昇し、消費者の手が届きにくくなった。現在のコロナ禍も1~6月の平均価格は6668万円で、10年前と比べて約4割上昇した。今後も人件費の上昇などで高値は続く見通し。バブル期との単純な比較はできないが、買い手にとって厳しい状況は同じだ。

松田氏は「首都圏の1億円超の高額物件の需要は悪くない」と話すが、国内景気の先行きは不透明だ。購入の対象を新築分譲マンションに固執せず、中古マンションや戸建て住宅に切り替える人も出てきている。

東日本不動産流通機構(同・千代田)によれば6月の首都圏の新築戸建ての成約件数は633件で、前年同月を15%上回った。3カ月ぶりにプラスに転じ、足元で減少が続く中古のマンションや戸建て住宅と比べれば戻りが早い。千葉県は2カ月連続の増加で、東京都や神奈川県の6月の成約件数も2割伸びた。

東京カンテイ(同・品川)が公表する首都圏の新築戸建て(土地面積が100平方メートル以上)の供給戸数は、6月まで9カ月連続で前年実績を上回っている。6月は4241戸で3倍の水準だ。井出武上席主任研究員は「昨秋から増加傾向にあったが、コロナ禍でも増えるのは一定の需要がある証拠だ」と語る。

4~6月の供給増は、在宅勤務が新たな需要を生み出した可能性を示唆する。郊外の戸建て住宅が人気なのはマンションと比べて最寄り駅からは遠いが、部屋数が多いためだ。在宅勤務が増え、目的に応じて柔軟に間取りを変更できる点も魅力とされる。日本不動産研究所(同・港)の吉野薫主任研究員は「販売価格を比較的抑えた物件が増え、タワーマンションに手の届かない層が手を伸ばしている」と話す。

大手不動産各社は新築分譲マンションの魅力を消費者にどう打ち出すのか。来春以降の入居に向けた秋商戦を見据えて、それぞれの目玉物件が明らかになってきた。

三井不動産は9月下旬から、東京・勝どきに建設する2棟のマンションの一部を順次売り出す。総戸数が2800戸弱の超大型物件で、都心部にある利便性などを訴える。三菱地所は11月下旬に千葉県浦安市で分譲マンションの販売を始める。平均面積が約96平方メートルと、リモートワーク対応の広い間取りが特徴だ。各社は機能面や立地の良さなどを訴えていく。

秋商戦の動向で左右される部分もあるが、2020年の新築分譲マンション販売はバブル直後以来の3万戸割れとなることが確実な情勢だ。不動産経済研究所は「2万戸程度になる」と予測する。各社が限られた需要を奪い合う注目の7~12月期が始まっている。

(原欣宏)

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