日産再生のカギ、10年ぶりの新型EV「アリア」発表

日産の選択
2020/7/15 15:16
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日産自動車は15日、多目的スポーツ車(SUV)型の電気自動車(EV)「アリア」を2021年中ごろに日本で発売すると発表した。世界のEV販売の過半を占める中国市場向け専用車を除くと、日産が新型EVを投入するのは10年12月に「リーフ」を売り出して以来、10年ぶりとなる。日産の経営再建で最も重要なのは、売れる車だ。グローバル商品戦略の柱とする電動化を象徴するクルマとして、日産再生のカギを握る。

「日産は今後、年100万台以上の電動車を販売していく。アリアはその日産を象徴する」。15日開いたオンライン発表会で、内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)はこう述べた。

日産自動車の新型電気自動車(EV)「アリア」の航続距離は最大610キロメートルに達し、5.1秒で時速100キロメートルに加速する

日産自動車の新型電気自動車(EV)「アリア」の航続距離は最大610キロメートルに達し、5.1秒で時速100キロメートルに加速する

アリアには電池が65キロワット時と90キロワット時の2つの容量を用意。駆動モーターを車両の前後に2個備えてより緻密にクルマを制御する四駆タイプもそろえた。5.1秒で時速100キロメートルに加速し、日産を代表するスポーツ車「フェアレディZ」に相当する走りという。

航続距離は90キロワット時の電池を搭載した二輪駆動タイプで、同社調べで最大610キロメートルという。測定方法は異なるが、初代リーフに比べ、約3倍に伸びた。東京インターチェンジ(IC)と名古屋IC間は約300キロメートルで、東京―名古屋間を電池残量を気にせずに移動できそうだ。

このほか、高速道路の同一車線内なら手を放して運転できる運転支援技術「プロパイロット2.0」も搭載した。「自信を持って言える。日産車の魅力が全て詰まっている」(内田社長)

日産は競合に先駆けてリーフを10年前に発売した。リーフはこれまで累計で45万台以上を売り、17年に全面改良した。ただ、商用車や中国専用車を除くと後続のEVを出していなかった。「当初想定していたほど世界でEV市場が拡大しなかった」(日産幹部)ためだ。

だが、局面は変わりつつある。今後は欧州で環境規制が強化されるなど、世界の自動車大手はEVの開発を強化しており、中国以外でもEVが普及する可能性が高まってきた。日産は5月下旬に発表した23年度までの4カ年の中期経営計画で、全販売台数のうち電動車の割合を示す「電動化率」を日本では足元の25%から60%に、中国と欧州はそれぞれ23%、50%に高める方針を明らかにしている。日産の電動車はEVと独自技術「eパワー」を活用したハイブリッド車(HV)が柱で直近ではHV「キックス」を6月末に日本で発売したばかりだ。

矢継ぎ早の新車発表だが、アリアが発売される時期は日本は21年半ば、欧米や中国では「21年中」とかなり先になる。経営不振が続くなか、アリアで先進性を強調し、復活に向けた前向きな姿勢をいち早く印象づけたいとの焦りも感じられる。

(小泉裕之)

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