静岡市の大江戸温泉、地元IT企業リバティーが買収

2020/7/15 20:00
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IT(情報技術)を使って旅館の運営を支援するリバティー(静岡市)は15日、「大江戸温泉物語」グループの市内の温浴施設を買収すると発表した。休業中の温浴施設を改装して10月に営業を開始。約10年間休業していたライブハウスや博物館を復活し、総合型リゾートとして再開発する。

「大江戸温泉物語 天下泰平の湯 すんぷ夢ひろば」はレジオネラ症の集団感染が起こって以降、全面休業していた

大江戸温泉に併設される「徳川家康ミュージアム」は2010年から閉館したまま

運営会社の大江戸温泉物語ホテルズ&リゾーツ(東京・中央)から「大江戸温泉物語 天下泰(たい)平の湯 すんぷ夢ひろば」を買収する。買収額は非公表。同温浴施設は2019年8月、感染症のレジオネラ症の集団感染が起きて以降、全面休業していた。

感染原因である菌の温床となった木製の床を石製に変える感染対策を含め改装を実施。「リバティーリゾート久能山」として営業を始める。

延べ約11万平方メートルに及ぶ広大な敷地面積を生かし、温浴施設以外の施設も整える。ライブハウスや演劇場があるイベントエリア、約20軒が入れるテナントエリア、町家風の宿に泊まれる宿泊エリアを設ける。これらは来年以降に順次開き、24年までに全てのエリアをオープンする。改修費は3億円。併設している「徳川家康ミュージアム」は閉館中だが、静岡市に寄贈して再開する。

リバティーの福原良佐社長は「運営が東京の企業から地元企業に代わることで、単なる商業施設ではなく地元の文化に触れられる『遊び場』に変えていく」と言う。改装のテーマは「昭和の日本」で、地域住民や訪日外国人客に的を絞り集客していく方針だ。

リバティーは、3000以上の小規模宿泊施設向けに集客や財務の支援システムを展開するIT企業。20年5月期の売上高は約12億円と小規模ながら、17年に伊豆の有名温泉旅館「大滝(おおだる)温泉天城荘」(静岡県河津町)を買収するなど、観光施設の運営ノウハウを培ってきた。

同社のシステムを使う小規模旅館のオフシーズンの売り上げ維持につなげてもらうため、新施設では旅館の料理人が月替わりで料理を提供できるレストランも設ける。

同施設は06年、不動産業のゼクスが久能山東照宮(静岡市)に近接する徳川家康ミュージアムや温浴施設、演芸場などを総事業費55億円をかけて整備し「すんぷ夢ひろば」として開業した。46年前の豪雨災害の際に公費を使って造成した広大な土地を生かし、市内に観光施設をつくろうと地元の著名人らが構想がもとになっている。

10年に、運営主体が大江戸温泉物語ホテルズ&リゾーツに変わって以降は温浴施設のみを運営していた。利用者のレジオネラ症の集団感染が発覚する直前の1年間(18年8月~19年7月)には24万5000人の来客があったという。

リバティーは、新型コロナウイルスの感染拡大で顧客の3密回避や衛生管理への意識も高まるなか、低単価を客数の拡大でカバーするモデルに限界があると判断。総合型のリゾート施設として刷新することで単価を引き上げる戦略だ。24年には施設全体の売上高で大江戸温泉時代の2倍となる年10億円をめざす。

(亀田知明)

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