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良いSHやリーダーとは ラグビー・レイドローに聞く

2020/7/16 3:00
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NTTコミュニケーションズに加入した元スコットランド代表主将のグレイグ・レイドロー(同社提供)

NTTコミュニケーションズに加入した元スコットランド代表主将のグレイグ・レイドロー(同社提供)

ラグビー元スコットランド代表主将でNTTコミュニケーションズに加入したSHグレイグ・レイドローが、15日までにオンラインで日本経済新聞の取材に応じた。欧州有数のスター選手が日本でのプレーを選んだ理由や、選手として大事にしていることを聞いた。

――来日を決めた理由は。

「自分のベストのプレーを続けるために新しいチャレンジが必要だと考えていた。小さな子供もいるので大きな決断だったが、コンフォートゾーン(心地いい環境)を出てチャレンジできる環境に身を置くことが大切だといつも考えている。ワールドカップ(W杯)もあって、急成長している日本のリーグはいい環境だと思った」

――昨年のW杯での経験も決断に影響したか。

「日本には互いに尊敬し合う文化があり、安全な国でもあると知り、自信を持って来日を決めた。家族全員で来日するが、最初にまず私一人が9月に日本に行く。その前に本を何冊か読んで文化を学ぶつもりだ」

――W杯で日本にいた時の思い出は。開幕前には長崎県にも滞在した。

「長崎ではどこに行くにもしっかり手配していただき、素晴らしいおもてなしだった。原爆資料館も訪れた。どんなひどいことが起きたのかを学ぶことは、長崎の方々に敬意を示す意味でも自分たちにとって重要なことと考えたからだ」

――日本で人気が高い。

「2015年W杯の日本戦が関係しているのではないか。日本は南アフリカに歴史的な勝利を収めた後で、日本のファンも(テレビなどで)たくさん試合を見てくれた。この試合は自分でもかなりいいプレーができたので、それを見てもらえたからではないか」

――トップリーグの中でNTTコムを選んだ理由は。

「(NTTコム)シャイニングアークスはとても強いチームであり、契約交渉でやり取りする感じもとても良かった。ワールドクラスの施設があることも大きな後押しになった」

レイドローはNTTコムと2年契約を結んだ(同社提供)

レイドローはNTTコムと2年契約を結んだ(同社提供)

――千葉県浦安市の練習場は2面のグラウンドや流水プール、IT(情報技術)設備がそろっている。世界中の練習場を知っているあなたの目にどう映るか。

「(直近に所属したフランスの強豪)クレルモンと並ぶ世界でベストの施設だと思う。そういう場所でトレーニングすることは選手にとって非常に大きなモチベーションになるので、決断の後押しになった」

――「NTTコムの企業としてのビジネスの方針にも興味を持った」と海外のインタビューで答えていた。

「私はいつもチームのビジネス形態への理解を深めることを心掛けている。NTTコムは大きな成功を収めている会社であり、これからも長期的に成長する会社だと考えたことも移籍の理由になった」

――ビジネスへの関心はセカンドキャリアを考えてか。

「セカンドキャリアのために新しい人と会って人脈をつくることが大事という考えももちろんあるが、前提はNTTコムとはプロの選手として契約したということだ」

――シャイニングアークスのラグビーの印象は。

「ラグビーのスタイルがシャイニングアークスを選んだ理由の一つ。すごく熱意のあるアタッキングラグビーをしている。さらに伸ばしていけば強豪にも十分対抗できる」

――チームにどういう変化をもたらしたいか。

「まずは長くトップレベルでプレーしてきた自分の経験を伝えたい。攻撃のスピードやテンポをコントロールできるのも自分の強みだし、特に強みとしているランでも守備側にプレッシャーをかけたい」

オンラインで取材に応じるレイドロー

オンラインで取材に応じるレイドロー

――日本のラグビーはテンポが速く、海外の選手が適応に苦しむ場合もある。

「試合のテンポについては理解している。SHのフィットネス(持久力)が必要だし、速いテンポの中でも高い精度で試合を進めることが大事になる。フランスのラグビーはテンポが少し遅かったが、プレシーズンの期間もうまく使って速いテンポへの理解を深める」

――スコットランド代表としては76キャップで歴代2位の714得点。主将を務めた試合は最多の39試合だった。

「いいリーダーに必要なのは冷静さ。重圧がかかった中でどう冷静でいるか、それをキャリアの中で磨いてきた。周りの選手のベストを引き出す能力や、周りの手本になるようなプレーをすることも、リーダーであるために重要視している点だ」

――重圧の中で冷静であり続けるには。

「練習の中で自分をどれだけ限界まで追い込めるかが重要だ。練習のときから重圧が掛かった状況をイメージしておくことも大事。そうすればどんな状況でも自信を持ってプレーできる。試合になってから重圧を感じていては遅い」

「私はいつも周りの選手に自分の経験を伝えることを大事にしてきた。まずは自分がいいプレーをすることが最優先だが、若い選手への理解も深めていって、良い選手になるためにはどれほどの努力とスキルの積み重ねが必要なのかということも伝えたい」

――日本代表の選手が「レイドローはレフェリーとのコミュニケーションが非常にうまい」と話していた。

「一人一人のレフェリーがどういう人物なのかを知ることが重要。あとは、ハードに、フェアにプレーすること。それができていればレフェリーも自分たちを同じように扱ってくれる。幸運にも私はトップの舞台で長くプレーできたため、レフェリーと個人的に知り合う機会が多かったことも役に立った」

レイドローはSHとしての巧みなゲームコントロールに定評がある(NTTコミュニケーションズ提供)

レイドローはSHとしての巧みなゲームコントロールに定評がある(NTTコミュニケーションズ提供)

――SHとして試合をコントロールするときに気をつけていることは。

「一番重要なのはラックに早く寄ること。それができれば、頭を上げる時間ができるので周囲を見られる。どういう選択肢があるのか分かれば正しい選択肢を選べる。周囲を見るときはまず、ラックからボールが早く出るかどうかに着目し、その後に数的優位があるかどうかを見る。数的優位があれば、自分たちのスキルを生かしてそこを攻略する。早くボールが出なければ、次にベストの選択肢は何なのかを考える。キックなのか、早いボールではないにせよ比較的早く攻める選択肢を選ぶのか」

――正確なキックも武器。特にゴールキックは距離、角度を勘案したデータで昨年のW杯のキッカーで1番の成功率だという分析もある。

「キックは重圧が掛かった状態で自分のテクニックをどれだけ保てるかが重要だ。自分が練習を積み重ねてきたプレーで、誇りを持っているプレーでもある。日本でも練習してもっともっと向上したい」

――日本代表戦に強かった。5戦で4勝1敗。通算67得点はスコットランド代表史上最多だ。

「たまたまその日の試合の展開で自分が得点をたくさん取る状況だった。昨年のW杯で負けた試合でも、もう少し私が得点ができていれば役に立てたと思う」

――その試合では敗れて1次リーグ敗退が決まった3分後にインタビューを受け、日本に賛辞を贈る姿が印象的だった。

「相手への敬意はラグビーに不可欠な価値観であり、自分が大事にしている価値観でもある。大会を通して日本のプレーを見てきた。準々決勝に値するチームは日本だと素直に受け止めないといけないと思ったから、ああした行動になった」

――NTTコムとの2年契約が終わった後は。

「今は肉体的にフィットネスもある状態。2年契約というのは非常にいい期間だと捉えている。2年後にどうなるかは分からないが、選手としてのキャリアは日本で終えることになると思う」

(聞き手は谷口誠)

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