バイデン氏、環境・インフラ投資に2兆ドル 雇用創出へ

【ワシントン=鳳山太成】11月の米大統領選で野党・民主党の候補指名を固めたバイデン前副大統領は14日、気候変動問題に対処するため発電所などのインフラに4年間で計2兆ドル(約220兆円)を投資する環境政策を発表した。巨額投資による雇用創出を通じて経済復興にもつなげる。
バイデン氏は地元の東部デラウェア州ウィルミントンで演説し、「米国経済と米国人の健全性と活力のために最も重要な投資だ」と強調した。
計画では税制優遇などで太陽光発電や風力発電などクリーンエネルギーへの設備投資を促し、発電網による排ガスを2035年までにゼロにすることを目指す。電気自動車など自動車産業に重点投資するほか、エネルギー効率の高いビルや住宅、都市の交通システムも刷新する。蓄電技術や水素燃料、原子力発電などへ技術開発も注力する。
新型コロナウイルスで打撃を受けた米経済を回復させる計画の一環でもある。環境投資で数百万人の新たな雇用を生み出すと主張しており、労働者層の支持拡大を狙う。9日には米国製品の購入や先端技術の開発に7千億ドルを投じる製造業の支援策を公表していた。
気候変動を巡り、トランプ米大統領は地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」から離脱したり、環境規制を緩和して化石燃料の開発を推進したりするなど経済重視の姿勢が鮮明だ。自然災害の多発で環境問題に対する有権者の関心は高まっており、バイデン氏が違いを打ち出しやすい政策テーマの一つだ。