JPモルガン51%減益、ウェルズは08年来の赤字 4~6月

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2020/7/14 20:59 (2020/7/15 5:07更新)
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景気の先行き見通し悪化に伴い、米銀は貸倒引当金を大幅に積み増した=ロイター

景気の先行き見通し悪化に伴い、米銀は貸倒引当金を大幅に積み増した=ロイター

【ニューヨーク=大島有美子】米銀の4~6月期決算は14日発表の最大手、JPモルガン・チェースの純利益が46億ドル(約4900億円)と前年同期から51%減った。貸出先の個人や企業の信用力が悪化し、貸倒引当金を大きく積み増したためだ。同日発表のシティグループは純利益が73%減の13億ドルだった。

ウェルズ・ファーゴは最終損益が23億ドルの赤字(前年同期は62億ドルの黒字)だった。同行の赤字転落はリーマン危機さなかの2008年10~12月期以来、11年半ぶり。

JPモルガンのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は経済の先行きについて「引き続き大きな不確実性に直面している」との認識を示した。景気回復は緩慢で、米失業率は「21年前半まで2桁台が続く」(最高財務責任者=CFO=のジェニファー・ピプスザック氏)との前提に立っているという。

JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)=ロイター

JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)=ロイター

米銀は将来予想される損失を前もって引き当てる方式を今年、導入した。引当金と貸倒損失を合計した不良債権処理費用(信用コスト)は3社合計で前年同期比7.5倍の279億ドルに達した。

信用コストの大半は貸倒引当金だ。JPモルガンの貸倒引当金繰入額は約89億ドル。そのうちカードローン(29億ドル)を含む個人で約44億ドルを計上した。企業向けは約46億ドルだった。景気悪化の影響が広範囲に及ぶため、業種は多岐にわたるという。ウェルズは企業向け融資で64億ドル、住宅ローンを中心とした消費者向けで20億ドルをそれぞれ新たに引き当てた。

一方で事業会社の売上高にあたる純営業収益は、JPモルガンとシティで増収。JPモルガンは15%増の329億ドルで過去最高、シティは5%増の197億ドルだった。

米連邦準備理事会(FRB)の金融緩和で長期金利が低下しており、貸出金と預金の利回り差(利ざや)圧縮で米銀の収益環境は悪化している。

堅調だったのは市場部門だ。債券や株式市場の変動が激しく売買が活発だったため、JPモルガンの市場部門の収益は97億ドルと79%伸びた。

財務基盤の強さを示す中核的な自己資本(CET1)比率はJPモルガンが6月末で12.4%と3月末(11.5%)から上昇した。シティグループは11.5%と0.3ポイント改善した。シティのマイケル・コルバットCEOは資本について「強固だ」とし、「あらゆる(景気)シナリオに対応する用意がある」と述べた。

ウェルズの同比率は10.9%と0.2ポイント改善したが、赤字転落を受けて大規模なリストラに踏み切る。7~9月期の四半期配当も10セントとこれまでの51セントから大幅に減らす計画だ。

ウェルズのチャールズ・シャーフCEOは「国内総生産(GDP)が上向く傾向が明確になるまでは、業績への打撃が続く」と指摘。20年後半からの合理化には人員削減も含まれると明らかにした。米メディアによると削減幅は数千人規模に達する見通しだ。

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