スタートアップに成長資金、名古屋・浜松 1000億円目標

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2020/7/14 18:20
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政府が進めてきたスタートアップ(SU、新興企業)の戦略拠点に14日、名古屋・浜松連合が選ばれた。選定により、自動運転などの実証実験で規制緩和が期待され、起業家の資金調達や上場にも弾みが付く。中部経済連合会などは今後5年で、外部から愛知のSUに計1000億円以上の資金供給を目指す。

中経連と名古屋市が設立したナゴヤイノベーターズガレージ

中経連と名古屋市が設立したナゴヤイノベーターズガレージ

戦略拠点は「スタートアップ・エコシステム グローバル拠点都市」と呼ばれる。東京、大阪・京都・神戸、福岡も選ばれた。中経連と名古屋大、愛知県、名古屋市がコンソーシアム(共同事業体)を組んで旗振り役となり、後に浜松市が加わった。

選定で期待されているのが、投資マネーの呼び込みだ。政府による大企業とSUの協業支援、世界から投資家、起業家の誘致が見込まれている。コンソーシアムは愛知のSUが大企業やベンチャーキャピタル、金融機関などが資金の出し手となり年平均200億円、今後5年で計1000億円以上は調達できる環境づくりを目指す。

情報サービスのイニシャル(東京・港)によると、愛知のSUが19年に調達したのは161億円。前年の2倍になったとはいえ、このうち90億円は自動運転ソフトを手掛ける名古屋大発のティアフォー(名古屋市)が占める。人工知能(AI)を活用して最適な配送ルートなどを提案するオプティマインド(同)は、トヨタ自動車KDDIなどから10億円の第三者割当増資を受けた。

他は数億円以下の小粒な案件が多い。今後、業種の裾野や社数をどこまで広げられるかが課題になる。愛知は産官学の連携が深く、大学発の技術などを事業化する「ディープテック」に期待が集まる。

起業を志す人材は、5年で1万人以上輩出する考えという。

今回の選定はコンソーシアムを通じた産官学の連携が実を結んだ。背景にあるのが、強い危機感だ。中部圏はトヨタをはじめ、グローバル製造業の集積地として大企業を中心に発展してきた。地域の安定志向も強い。スタートアップ企業が生まれる土壌が乏しく、長らく「スタートアップ不毛の地」とされてきた。

急速な産業構造の変化やデジタル革命の進展で企業を取り巻く環境は厳しくなり、SUの斬新な技術やアイデアが新たな競争力に欠かせなくなっている。

■異例の4拠点、財界バックアップで内定
 当初、政府は拠点都市の中でも手厚い支援が得られる「グローバル拠点」について、全国で2~3カ所選ぶ方針だった。名古屋・浜松を含め異例ともいえる4拠点になった舞台裏では、産官学の熱烈な後押しがあった。
 ある関係者は「スタートアップ(SU)を巡る過去の実績では他都市に劣ると言わざるを得ない。政府には、東京を除いて3カ所程度を指定してほしいと求めた」と明かす。別の関係者は、技術と資金の出し手が愛知に集積していることを挙げ「この地域にはSUの一大拠点になるポテンシャル(潜在力)がある」という。
 決め手のひとつは、トヨタ自動車グループを中心とする産業界の全面的な支援だ。当時、中経連会長だった豊田鐵郎氏(豊田自動織機会長)は、地元財界を挙げて人材や資金面でSUを後押しする方針を強調してきた。名古屋市と共同で2019年夏、名古屋市の繁華街、栄地区にイノベーション拠点「ナゴヤイノベーターズガレージ」を開いた。
20年6月に中経連会長を引き継いだ水野明久氏(中部電力会長)も「新しいビジネスの芽吹きを促す糸口。効果を中部圏全体に波及させたい」と期待を寄せた。
 拠点の指定に向けた今回の活動では、名乗りをあげた各都市が周辺の自治体と連携した。中経連など4者のコンソーシアム(共同事業体)は活動の中盤になって距離が近く、ものづくり中心の産業基盤も似ている浜松市とタッグを組んだ。
 愛知県の大村秀章知事は14日、政府のグローバル拠点指定を受けた記者会見で、「日本を代表する製造業の集積とスタートアップのつながりでイノベーション創出を加速する」と述べた。

(藤井将太)

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