アヤソフィア、キリスト教絵画に覆いも モスク化で

2020/7/14 17:38
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「アッラー」などと書かれた円板の奥にはキリストの絵がみられる(10日、イスタンブール)=ロイター

「アッラー」などと書かれた円板の奥にはキリストの絵がみられる(10日、イスタンブール)=ロイター

【イスタンブール=木寺もも子】トルコが世界遺産の旧大聖堂アヤソフィアの地位を博物館からイスラム教のモスクに変更したことで、内部にあるキリスト教文化財の扱いや見学方法が変わりそうだ。2つの宗教が共存する歴史的な特徴をどう維持するか、国際的にも関心が高まっている。

アヤソフィアは1935年、新生トルコが掲げる世俗主義の象徴として宗教的に中立な博物館となった。イスラム教の聖地メッカの方角を示す壁のくぼみ「ミフラーブ」から視線を上げて天井のドームを見上げれば、聖母マリアとキリストの姿が目に入るというユニークな歴史遺産だ。

トルコ政府は24日からアヤソフィアを礼拝の場として開放するとしているが、モザイク画やフレスコ画などのキリスト教文化財をどう扱うかが注目されていた。トルコ与党・公正発展党(AKP)の報道担当者は13日、内部のキリスト教の宗教画について「礼拝の間はカーテンか光線で隠す」と述べ、通常は観光客の目に入る形になるとの見通しを示した。

もっとも、高さ50メートル超の巨大なアヤソフィアでカーテンやレーザーをどう使うのかはまだわからない。国連教育科学文化機関(ユネスコ)は文化財の保存や展示方法の変更などを勝手に行えば「世界遺産条約に違反する可能性がある」と警告している。

見学の仕方も変更される。年間300万人以上に上る観光客の見学は、エルドアン大統領が「これまで通りすべての人に開かれる」と明言している。現在100リラ(約1600円)の入場料は一般的なモスクと同様、無料になる。

ただ、モスクには通常、礼拝の時間中、祈りをささげるイスラム教徒以外は入れない。祈りのスペースにはじゅうたんが敷かれ、見学者は立ち入れないようにしていることも多く、観光客には注意が必要だ。

モスク化を巡っては、否定的な反応が少なくない。米国や欧州連合(EU)は非難や失望を表明した。約1000年にわたって東方正教会の中心だった歴史的経緯から、ギリシャやロシアの正教会が反発しているほか、ローマ教皇フランシスコも「深い痛みを感じる」と述べた。

イスラム教のアラブ諸国でも冷淡な反応が目立っている。トルコは四面楚歌(そか)の状況で、アヤソフィアをモスクとして宗教的行事で活用しながら、世界遺産の1つとしてどう公開していくか慎重な対応が求められそうだ。

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