トランプ氏再選なるか 失敗組に見る、鬼門は失業率?
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米大統領選
2020/8/2 0:00
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11月3日の米大統領選まで約3カ月。「あと4年」と2期目を狙う共和党現職のトランプ大統領と「トランプを1期だけの大統領にする」と再選阻止を目指す民主党のバイデン前副大統領が激突します。1期で終わった戦後の大統領は3人。どんな背景や理由があったのかを探ります。

米大統領の任期は4年で、憲法の規定により2期まで務められます。民主・共和両党の予備選を勝ち抜いた候補が、8月の党全国大会で正式に大統領候補として指名されます。

9~10月にはテレビ討論会があり、どちらが大統領にふさわしいかを議論します。11月の大統領選では、全米の選挙人の過半数を獲得した候補者が勝つ仕組みです。勝者は翌年1月、大統領に正式に就任します。

戦後の大統領は13人いますが、2期目を狙って落選した現職は3人だけしかいません。

■ジェラルド・フォード大統領(1974~77年・共和党)

第38代フォード大統領(AP)

第38代フォード大統領(AP)

第38代フォード大統領は米国史上でただ一人、選挙を経ずに副大統領、大統領に上り詰めました。汚職事件で辞任したアグニュー副大統領の後任としてニクソン大統領に指名され、副大統領に就任。ニクソン氏が1974年8月にウォーターゲート事件で辞任したのを受けて大統領に昇格しました。

フォード氏は就任の1カ月後、ニクソン氏を恩赦。これが国民の怒りを買い、支持率は急落しました。政治への信頼回復を訴え、現職米大統領として初めて来日するなど外交政策にも力を入れましたが、ベトナム戦争の後遺症や景気低迷にも苦しみ、76年の大統領選で民主党のカーター氏に敗北しました。

現在では、自身の政治生命よりも恩赦によって国民の傷を癒やすことを優先した、と評価する声が多くなっています。

現職の米国大統領として初来日し、昭和天皇と乾杯するフォード大統領(右)=1974年11月(共同)

現職の米国大統領として初来日し、昭和天皇と乾杯するフォード大統領(右)=1974年11月(共同)

■ジミー・カーター大統領(1977~81年・民主党)

第39代カーター大統領(AP)

第39代カーター大統領(AP)

第39代カーター大統領は在任中、失業率の悪化や高いインフレなど経済の苦境に悩まされ続けました。就任後から支持率は低下の一途をたどり、一時は30%を下回りました。

1979年11月に起きたイランの米大使館人質事件で支持率はいったん回復したものの、その後の対応が「弱腰」と批判を受け、人質の救出にも失敗し再び下落。30%台と低迷したまま大統領選を迎え、「強い米国」の復活を掲げた共和党のロナルド・レーガン氏に大敗を喫しました。

イランの米大使館人質事件で救出作戦に失敗し、大破した米軍輸送機。カーター大統領の支持率は下落した(1980年4月)=AP

イランの米大使館人質事件で救出作戦に失敗し、大破した米軍輸送機。カーター大統領の支持率は下落した(1980年4月)=AP

カーター氏は退任後、北朝鮮やキューバを訪問するなど世界各地で紛争解決や人権問題に取り組み続けています。在任中の78年にエジプトとイスラエルの和解を仲介した「キャンプデービッド合意」の功績も含めて2002年にノーベル平和賞を受賞するなど、退任後に評価が上がっています。

■ジョージ・H・W・ブッシュ大統領(1989~93年・共和党)

第41代ブッシュ(父)大統領(AP)

第41代ブッシュ(父)大統領(AP)

トランプ氏にとって最も教訓になりそうなのが、第41代ブッシュ(父)大統領のケースです。冷戦終結や湾岸戦争で一時は89%という高い支持率を誇ったものの、不況脱出に手間取り「増税しない」という公約を破ったことなどで支持は急落しました。

共和党予備選で保守派の挑戦を受け、本選挙では無所属で出馬した実業家ロス・ペロー氏に保守票の一部を奪われたこともあり、民主党の若き新星ビル・クリントン氏に敗北しました。

1991年3月、湾岸戦争で勝利し寄航した米空母を出迎える人たち。一方で国内景気は低迷し、ブッシュ氏は再選できなかった(AP)

1991年3月、湾岸戦争で勝利し寄航した米空母を出迎える人たち。一方で国内景気は低迷し、ブッシュ氏は再選できなかった(AP)

支持率が好調なときに首相が総選挙に持ち込める日本などと違い、米大統領の任期は1期4年で2期までと決まっています。ブッシュ氏はタイミングの犠牲になったとも言えそうです。息子の第43代ジョージ・W・ブッシュ大統領は、見事に再選を果たしています。

■失業率が高いと現職に不利?

ケンタッキー州で行政の支援を求めて行列するマスク姿の失業者ら(6月)=ロイター

ケンタッキー州で行政の支援を求めて行列するマスク姿の失業者ら(6月)=ロイター

雇用情勢が悪化すると現職大統領に不利になる傾向があります。2期目を実現できなかったフォード、カーター、ブッシュ(父)3氏は、それぞれ7%台と失業率が高く、さらに悪化か横ばい基調だったため選挙に逆風となりました。

新型コロナウイルスの影響で、4月の失業率は14.7%と大恐慌直後の1940年以来の水準に悪化しました。米連邦準備理事会(FRB)は大統領選のある10~12月期時点の米失業率を9%台と予想しています。

■トランプ氏の支持率は?

米ギャラップの世論調査によると、トランプ氏の支持率は今年に入ってやや上昇傾向にありましたが、6月は38%に落ち込みました。

2期目を狙う歴代大統領の同時期の支持率と比較してみましょう。トランプ氏よりも支持率が低かったのはブッシュ父(37%)、カーター(32%)両氏だけ(選挙の年の6月の支持率平均)。いずれも選挙には敗れています。トランプ氏は微妙な立ち位置にいると言えそうです。

記事・芦塚智子(ワシントン) 編集・川合智之(国際部)、鈴木輝良(写真映像部)、淡嶋健人、高橋丈三郎、藤沢愛(デザイン部)

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