選び抜いた一言に説得力 新金融庁長官の氷見野良三氏 - 日本経済新聞
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選び抜いた一言に説得力 新金融庁長官の氷見野良三氏

「前任者のように会議中にネクタイを緩めないように」。国際的な金融規制を協議するバーゼル銀行監督委員会の会合に初めて出席した30年前、メンバーから冗談交じりの出迎えを受けた。その前任者は現長官の遠藤俊英氏。「面白そうだな」。国際舞台の仕事に憧れ、最初で最後の異動希望を出したのも遠藤氏の土産話がきっかけだった。

2004年に改定された主要国の銀行を対象にした監督規制「バーゼル2」の交渉で頭角を現した。当時の日本は大手銀行が破綻するなど金融危機のさなか。規制の厳格化が避けられないなかで海外当局を粘り強く説得し、邦銀が受け入れ可能な条件に持ち込んだ。

ユーモアに富んだ富山弁の語り口は相手を和ませるが、要所は決して外さない。自らまとめた国際交渉術の「十戒」のひとつが「主張はワンフレーズに要約する」。徹底的に情報収集し、相手に響く的確な言葉を放つ。「リョウゾウの話に耳を傾けよう」という雰囲気が自然と生まれる。

大学時代は政治学を学び、金融の仕事をめざしたわけではない。「社会が動くメカニズムを知りたかった」。原点は飽くなき知的探究心だ。毎晩、気分転換に中国の古典を中国語で音読する。食の研究にも熱心で週末はフレンチや中華料理を家族に振る舞う。家族は妻と2女。

(ひみの・りょうぞう、富山県出身)

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