香港議会選へ攻防本格化 民主派予備選、関心高く

香港デモ
習政権
2020/7/13 23:12 (2020/7/14 5:31更新)
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民主派の立候補が認められない可能性もある(予備選への投票を呼びかける黄之鋒氏(中))=ロイター

民主派の立候補が認められない可能性もある(予備選への投票を呼びかける黄之鋒氏(中))=ロイター

【香港=木原雄士】香港の民主派が11~12日に実施した立法会(議会)選挙の予備選は予想外の関心を集め、約60万人が参加した。香港国家安全維持法で締め付けを強める中国当局への反発が広がった。民主派は勢いをかって9月の本選挙で過半数をめざすが、当局の審査で立候補禁止が相次ぐ可能性もある。

「予備選は香港で民主主義がどのように繁栄できるかを示す証拠になった」。一票を投じた公務員の温さんはこう話す。政府は公務員への監視を厳しくしているが、温さんは「民主派が過半数を取れるように候補者を選んだ」という。

予備選は民主派がまとまって親中派に対抗するため、事前に候補者を絞り込む目的で実施した。資金集めが難航するなど当初は盛り上がりを欠いたが、フタをあければ目標の17万人を大きく上回る約60万人が投票した。香港の登録有権者の13%、前回2016年の立法会選で民主派が獲得した票数の半分にあたる。

香港中文大学の蔡子強・高級講師は「香港人が初めて平和的に香港国家安全法への不満を示す場になった。公的な支援がなく準備期間も短い中では驚くべき結果だ」と話す。予備選が国家安全法に違反する可能性を政府高官が投票直前にちらつかせるなど、当局は露骨にけん制したが、かえって市民の関心を高めた。

立法会は定数70のうち業界団体などが選ぶ職能別選挙枠が35を占め、圧倒的に親中派に有利なしくみだ。16年選挙で民主派は直接選挙枠の過半を押さえたものの、全体では30議席にとどまった。目標の過半数には直接選挙枠の獲得議席を上積みするのが絶対条件だ。

仮に民主派が過半数を握れば、政府提出の予算案を否決できる。香港基本法の規定では予算案の否決後、行政長官が議会を解散し、選挙後に立法会が再び否決すれば、行政長官は辞任しなければならない。立法会選は民主派が持つ数少ない政治的な武器の一つだ。

もっとも、今回の予備選で民主派に展望が開けたわけではない。18日から始まる9月の立法会選の立候補の届け出後に選挙管理委員会が候補者の言動を審査して、出馬を認めない可能性があるためだ。18年の立法会補欠選挙では活動家の周庭(アグネス・チョウ)氏、19年の区議会議員選挙では黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏の立候補が取り消された。

親中派からは香港国家安全法に反対する者の立候補を認めるべきではないとの声や、過半数をめざす民主派の戦略そのものが同法違反との主張が出ている。香港中文大の蔡氏は「予備選で政府や親中派の懸念は一段と深まった。9月の選挙が予定通り行われるかも分からない」と指摘する。

9月の立法会選で選ばれても議員資格を剥奪される可能性もある。16年選挙後は就任時に法定通りに香港基本法の順守を誓う宣誓文を読まなかったなどの理由で6人が議員資格を失った。

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