航空除外、ズーム採用 欧米株価指数銘柄にコロナ洗礼

2020/7/14 2:00
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NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞

独ルフトハンザはDAX指数に算出開始時から採用されていた=AP

独ルフトハンザはDAX指数に算出開始時から採用されていた=AP

新型コロナウイルスによる株価の低迷で、欧米の主要な株価指数の構成銘柄から脱落する名門企業が相次いでいる。独航空大手ルフトハンザは6月、ドイツの株価指数DAXから外された。英国でも航空や旅行大手が主要指数から姿を消した。市場の評価が反映される銘柄の入れ替えは、コロナ下で進む企業や産業の浮沈を映し出す。

ドイツ取引所グループの指数運営会社ストックスは6月22日、ドイツの主要30社でつくる株価指数DAXからルフトハンザを除外した。ドイツ銀行やフォルクスワーゲン(VW)、シーメンスなどと並び、同指数の算出が始まった1988年以来、30年あまり採用されてきた最古参の1社だった。代わりに不動産サービスのドイチェ・ボーネンを組み入れた。

ルフトハンザ株の除外は、時価総額か売買代金の水準が市場全体の45位未満に転落という基準に該当したためだ。新型コロナによる世界的な移動制限で大規模な運休を余儀なくされ、経営の先行き不安から株価は4月24日に一時7ユーロ強と、2019年末より6割近く落ち込んだ。発行済み株式数をかけた時価総額は4000億円台まで縮み、株価指数の分類で「大型株」の地位を失った。

英国でも代表的な株価指数であるFTSE100種総合株価指数で、6月22日に4銘柄が入れ替わった。除外組には格安航空会社(LCC)のイージージェットや、クルーズ船運営のカーニバルが入った。この2社も新型コロナで観光需要の蒸発に見舞われ、3月以降に株価が急落した。イージージェットは19年12月に採用されたばかりで、わずか半年での退場となった。

株価指数は、複数の銘柄の株価や時価総額を一定のルールで指数にしたものだ。市場全体の値動きをみる指標として使われている。代表的な指数には対象とする先物や上場投資信託(ETF)が多い。その構成銘柄に選ばれることは有力企業というステータスにとどまらず、投資資金の流入に追い風という利点もある。逆に除外となれば、それだけで指数連動の投資家から機械的な売りが出る。

「ズーム」は米ナスダック100に採用された(写真はユアンCEO)=ロイター

「ズーム」は米ナスダック100に採用された(写真はユアンCEO)=ロイター

米国では4月に、S&P500種株価指数から米百貨店最大手のメーシーズが外れた。もともと百貨店業態の苦境が深まっていたところに新型コロナが直撃し、2~4月期は連結最終損益が35億8100万ドル(約3800億円)の巨額赤字に転落した。株価が年初の半分以下に沈み、経済再開の期待が広がった5月以降も足取りは鈍い。

そのS&P500に5月、ドミノ・ピザが加わった。外出制限や自粛で宅配需要が増え、米事業の既存店売上高は5月17日までの4週間で前年同期比21%増えた。「飲食業界で顧客の消費行動が宅配や持ち帰りに移り、追い風が吹いている」(リッチ・アリソン最高経営責任者=CEO)。株価は年初来で3割高と堅調で、世界有数の指数の仲間入りを果たした。

IT(情報技術)銘柄が多い米ナスダック市場では4月、主力指数のナスダック100に、オンライン会議システムのズーム・ビデオ・コミュニケーションズが採用された。在宅勤務者の増加でサービス利用が急拡大。時価総額は約8兆円と、日本株のランキングに当てはめれば10位以内に入る規模に急伸した。一方、同じ月には指数からアメリカン航空グループが外された。コロナ下の企業の消長を如実に表す入れ替わりといえる。

主要な中央銀行が危機対応で空前の資金供給に動き、世界の株式市場は景気回復を前のめりで先取りするような株価回復を演じている。あらゆる銘柄が一様に戻しているわけではなく、コロナを経た産業構造の変化を占いながら選別が進む。欧州では食材・レシピ宅配の独ハローフレッシュや、英ネットスーパーのオカド・グループの株価上昇が群を抜く。

指数の銘柄選定はルールに基づいて半ば機械的に判断されるものだが、成長を期待して買う投資家の評価が反映される。コロナ禍がもたらす象徴的な顔ぶれの入れ替わりは今後も続きそうだ。

(ロンドン=篠崎健太)

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