ポーランド大統領選、現職が辛勝 強権政治継続へ

2020/7/13 18:28
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ポーランド大統領選挙で再選を確実にしたドゥダ氏=AP

ポーランド大統領選挙で再選を確実にしたドゥダ氏=AP

【ベルリン=石川潤】12日実施のポーランド大統領選挙の決選投票で、愛国的な保守与党「法と正義」出身の現職、ドゥダ氏(48)がリベラル派の野党候補との接戦を制し、再選を確実にした。司法やメディアへの支配を強め、LGBT(性的少数者)の権利拡大に反対する強権政治が継続する見通しとなった。

開票がほぼ終了した13日朝(日本時間同日午後)時点で、ドゥダ氏の得票率が51.2%となり、中道野党「市民プラットフォーム」のトゥジャスコフスキ氏(48)の48.8%を上回った。ドゥダ氏は12日夜に「70%の投票率での勝利は素晴らしいニュースだ」といち早く勝利宣言していた。

選挙戦の焦点になったのが、ポーランドの強権政治の是非だ。ドゥダ氏を支援する現政権は人事などを通じて司法やメディアへの介入を強めており、法の支配を重んじる欧州連合(EU)が繰り返し警告していた。

ワルシャワ市長のトゥジャスコフスキ氏は「欧州的で寛容なポーランド」を掲げて対抗した。自分が大統領に就任すれば反民主的な法案に拒否権を行使するとし、政治を変える最後のチャンスだと訴えかけた。

それでもドゥダ氏が勝利したのは、伝統的なカトリックの価値観を重視する保守層の厚い支持があったためだ。ドゥダ氏はLGBTを危険視するかのような発言を繰り返し、同性カップルによる養子の禁止を提案。社会保障を充実させてきた実績もあり、地方と高齢者の票を引き寄せた。

トゥジャスコフスキ氏はリベラル派が強い都市部の票を集めたが、及ばなかった。ポーランドでは民主化後の格差拡大への不満が根強く、分断の深さが改めて浮き彫りになったかたちだ。

大統領の任期は5年で、2023年の次の議会選挙まで大きな選挙の予定はない。ドゥダ氏の勝利は「安定を約束する」(政治学者のトーマス・ズコフスキ氏)との見方があるが、強権政治がさらに深まることへの懸念もつきまとう。

今回の選挙戦では公共放送がドゥダ氏寄りの報道を繰り返し、野党陣営には「公平でない」(元欧州議会議員のパヴェウ・コヴァル氏)との批判がくすぶる。政権側も、海外資本のタブロイド紙が選挙戦終盤にドゥダ氏のスキャンダルを報じたことに強く反発しており、今後締め付けが強まる可能性がある。

東欧ではポーランドやハンガリーが強権的な政治を進めている。今回の大統領選挙がポピュリズム(大衆迎合主義)の広がりにブレーキを掛ける好機になるとの期待もあったが、実際にはリベラルな価値観を掲げるエリート層への不信の強さを示す結果となった。

それでも、当初は無風が予想された選挙戦が、人気の高いトゥジャスコフスキ氏の立候補で接戦にもつれ込んだ。若年層の多くが同氏に投票しており、将来の変化の可能性も残す結果となった。

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