アビガン、有意差無しも「有効な可能性」 藤田医科大

科学&新技術
BP速報
2020/7/13 19:15
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会見を行う藤田医科大学の土井洋平教授

会見を行う藤田医科大学の土井洋平教授

日経バイオテク

新型コロナウイルス感染症に対する抗ウイルス薬「アビガン」の臨床研究を行っている藤田医科大学は10日、有効性に関して有意差はなかったとの暫定的な結果を発表した。ただし患者数を増やせば有意差が得られる水準であったことを踏まえ、研究責任医師の土井洋平教授(感染症科)は「アビガンは有効である可能性がある」と評価した。

今回の研究はアビガンのウイルス量低減効果を主要な評価項目とし、複数の医療機関で実施した非盲検のランダム化比較試験。3月上旬から89人の無症状・軽症患者が参加し、アビガンの通常投与群(1日目から内服する群)と遅延投与群(6日目から内服する群)に分けた。ウイルスが既に消失していた患者などを除き、通常投与群36人、遅延投与群33人で解析した。

その結果、主要な評価項目の「6日目まで(遅延投与群が内服を開始するまで)の累積ウイルス消失率」は通常投与群が66.7%、遅延投与群が56.1%と、通常投与群の方が遅延投与群よりも高い傾向にあった。

副次的な評価項目の「6日目までのウイルス量対数値50%減少割合」は通常投与群が94.4%、遅延投与群が78.8%だった。また、「37.5度未満への解熱までの平均時間」は通常投与群が2.1日、遅延投与群が3.2日と、いずれの項目も有意差は無かったものの、通常投与群で回復に至りやすい傾向がみられた。

富士フイルム富山化学が開発した抗ウイルス薬「アビガン」

富士フイルム富山化学が開発した抗ウイルス薬「アビガン」

■今の日本では患者集めに苦労

土井教授は、「今回の結果からアビガンの新型コロナウイルス感染症に対する有効性について結論を下すことはできない」と前置きしつつ、「有効である可能性がある。(遅延投与群が内服を開始するまで)投与、非投与で分けた部分で結果を出せたことに意味がある」とコメントした。また、「現在の日本ではこのサイズの研究が限界で、患者を集めるのに非常に苦労した」と話した。

土井教授によれば、今回みられた差のまま患者数を200人程度にした場合、有意差が出る計算だという。死亡や重症化の防止など数が少ない指標で有意差の有無を検証するには2000人単位の患者数が必要となり、現状の国内の感染状況では難しいとの認識を示した。

今回の結果がアビガンの保険適用に向けた承認申請用データとして使用されるかについて、土井教授は「当大学として積極的に何らかの働きかけを行うことはない。データ提出の要請があれば対応していく」とした。

(日経バイオテク 野村和博)

[日経バイオテクオンライン 2020年7月10日掲載]

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