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国交省、リニア工事再開へ関与強化 流域市町に説明も

リニア中央新幹線の静岡工区を巡り、国土交通省は静岡県に対し、工事再開と県の手続きを並行するよう新たに提案した。10日、静岡県庁で国交省の藤田耕三事務次官が静岡県の川勝平太知事と会談し伝えたが、知事は拒否した。ただ、国交省が大井川の流域市町に今回の提案を直接説明するなどの点は容認した。国は直接の関与を強めることで、工事の早期再開を促す構えだ。

「一致点を見いだす余地はないのか」。約1時間の会談の終盤で次官はこう切り出した。具体的には国交省の提案を省や知事が流域市町に直接説明したり、条例の運用を変更したりする案の検討をお願いした。知事は「万機公論に決すべし。国交省が本気ならありがたい」と返した。

リニア事業を計画するJR東海は県内の作業基地周辺の整地といった工事が6月中に再開できないと、27年の開業が困難と公表した。県は川の流量減少や、豪雨で作業道が崩落し、作業員の安全が確保されていない点を懸念し、認めない姿勢を貫く。

JRの金子慎社長と知事のトップ会談などでも折り合いが付かなかった。このため事業を認可した国交省は9日、両者に工事再開と県が求める手続きを並行する新たな折衷案を提示。10日の会談に至っていた。

県は工事再開の条件として、国の有識者会議の結論を踏まえ、県の専門会議に諮り、県の自然環境保全条例に基づく協定を締結するといった、「数カ月はかかる」(県担当者)という手続きを求めている。有識者会議の結論が出る時期は定まっておらず、条例の裁量権は県にあるため、手続きはさらに長期化する可能性もある。

協議が難航する背景には、これまでのJRの姿勢に対する県の不信感がある。知事は「命の水は一滴も渡せない」と、工事による湧水の「全量戻し」を主張している。一方でJRは「技術的に難しい」と話したことなどがあり、議論が滞る。

知事は次官との対談で「リニア開通と環境保全を両立する案の一つ」として、静岡県を迂回するルート変更も示唆した。ただこれは現在のリニア計画を根本から崩す議論のため、次官が「今は全く考えてない」と語気を強める場面もあった。

今回の提案に対し、流域市町からは「国交省から話があればぜひ直接伺ってみたい」(島田市の染谷絹代市長)とする声も出始めた。すでに27年のリニア開業は絶望的。ただ県や流域市町と国交省の議論が前進すれば、すでに遅れることが避けられない開業までの期間を短縮する効果は期待できる。

(野口和弘、高畑公彦)

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