北海道の保証付き融資、3カ月でリーマン超えの実相

2020/7/13 15:00
保存
共有
印刷
その他

新型コロナウイルスの影響で企業の資金繰り相談が急増している(5月、札幌市)

新型コロナウイルスの影響で企業の資金繰り相談が急増している(5月、札幌市)

北海道でも信用保証協会の保証付き融資が急増している。北海道信用保証協会(札幌市)が13日発表した2020年度4~6月の保証承諾額は6381億円に達し、リーマン・ショック危機後の09年度(年間)の総額を超えた。新型コロナウイルス危機で企業業績が悪化し、政府や北海道の無担保・無利子融資に申し込みが殺到している。

札幌市内でフィットネスジムを経営する男性は3月、「売り上げがたたず運転資金が必要だ」と道内の地方銀行に相談した。地銀が協会に保証を申請すると、協会は即日承諾した。迅速な融資につなげるため、事業計画書といった通常は必要な書類を省くなどスピード重視に転じている。

信用保証制度は企業が金融機関から融資を受ける際、信用保証協会が保証人となって企業が資金調達しやすくする仕組み。企業が倒産などでお金を返済できなくなった場合は協会が肩代わりして返済する。通常の利子に加えて保証料が必要なこの制度を使う企業は近年減る傾向にあったが、新型コロナで一変した。

5月に始まった実質無利子・無担保融資は一定期間は保証料も減免されるため、申し込みが殺到した。4~6月の承諾額は前年同期の8倍以上の水準だ。5月のコロナ関連の保証承諾額は2424億円と、4月の4倍に上った。保証承諾件数も5月は同4倍の1万1500件と急増した。

全国に比べて自粛期間の長い北海道では、資金繰りに悩む企業も多い。6月までの保証承諾額を都道府県別でみると、北海道は全国で4番目に多い。ただ有利な融資条件に引かれ、足元で資金繰りに窮していない企業の利用も目立つようだ。

札幌市内で建設業を営む男性経営者は「今すぐ資金繰りに困っているわけではないが、利子もなく保証料もかからないのでとりあえず借りた」と打ち明ける。有利な制度が使えるうちに借り、将来に備えておきたいと考える企業は多い。条件を上げるため過去の融資からの借り換えも相次いでいるもようだ。

今後懸念されるのは、立ち行かなくなった企業の債務を肩代わりする代位弁済の増加だ。20年度(6月末まで)の代位弁済額が前年同期比19%減の17億円と直近10年間で最少にとどまっているのは、金融機関が企業の返済猶予などに柔軟に応じているため。新型コロナの収束後に返済に窮するケースが増えるという観測は絶えない。

代位弁済額は過去の景気悪化局面でも膨らんでいた。09年度の代位弁済額は353億円だった。北海道信用保証協会は「今年度は保証承諾額全体が増えたので代位弁済額も増えるだろう。新型コロナの影響が長引けばリスクはさらに高まる」(経営企画課の増子直人課長)と警戒する。

今回の制度融資は条件の据え置き期間が5年と長めに設定されている。余裕を持って返済できる企業も多い一方、長期にわたって業績が回復しなければ5年後に苦しむ中小が続出する可能性も否定できない。

(塩崎健太郎)

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]