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コバルトに先安観 航空機部品需要が急減
供給障害は回復傾向 年内1ポンド11~12ドルも

2020/7/14 11:30
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ロールス・ロイスも航空機の発注キャンセル・縮小に直面している(C)Rolls-Royce PLC

ロールス・ロイスも航空機の発注キャンセル・縮小に直面している(C)Rolls-Royce PLC

電気自動車(EV)のリチウムイオン電池正極材や特殊鋼に使うレアメタル(希少金属)、コバルトの相場が低迷している。新型コロナウイルスの影響で航空機部品向け特殊鋼の需要が落ち込んだ。産地アフリカの供給障害は回復しつつあり、年内に一段と下落するとの予想が増えてきた。

コバルトは総需要のうち3割がノートパソコンなどの民生用電池向け、2割がEVなど車載用電池向け、1割がジェットエンジン部品などに使う特殊鋼向けとされる。このうち特殊鋼向けの需要の落ち込みが、今春以降の相場下落に影響した。

指標となる欧州市場のコバルト地金のスポット(随時契約)価格は現在、1ポンド14ドルを下回る。コロナ禍が本格化する前の2月につけた高値から2割安く、2019年7月以来1年ぶりの安値だ。

新型コロナの感染拡大で各国政府は3月以降、国内外の移動を大幅に制限した。航空機も運行本数が急減し、航空会社の業績は軒並み悪化した。各社は航空機の購入の先送りや中止を決め、部品交換の頻度も減らした。大手商社の担当者は「航空機分野の需要は壊滅的だ」と嘆く。

コバルトはEV需要を見越した中国の新興電池関連メーカーや投機筋の買いにより2017年から急騰。18年4月には1ポンド44ドル前後まで値上がりした。相場の上昇で生産の拡大に拍車がかかり、18年は世界全体で14万8千トン。13年(11万トン)から5年で3割増えた。しかし、実際の需要は伸び悩み、19年以降は供給過剰が鮮明になった。

米中貿易摩擦の激化に伴う景気減速もあり、電池産業の中心である中国の関連メーカーは現在、水酸化コバルトなどの中間原料を多く抱えているとされる。サプライチェーン(供給網)にコバルト材の在庫がたまっていることも、地金相場の下押し材料となっている。

欧州では、景気対策としてドイツがEVの購入者に対し9千ユーロ(約110万円)の補助金を出すことを決めた。コンサルティング会社、PwCコンサルティング(東京・千代田)の阿部健太郎シニアマネージャーは「消費者の購入負担を軽くする」と評価する。しかし市場には「景気減速で購買意欲が落ち、需要の増加にはつながらない」といった見方も多い。

鉱石生産の7割を占めるコンゴ民主共和国や周辺地域では4月以降、コロナ対策でロックダウン(都市封鎖)が行われたが、相場への影響は薄かった。現在は供給障害も徐々に回復しており、大きな混乱はない。

欧米などで移動制限が緩和され、航空機の運行本数は緩やかに回復する見込みだ。だが特殊鋼需要の持ち直しには時間がかかる。大手特殊鋼メーカー担当者は「航空機メーカーからの需要は当面厳しい状況が続く」と話す。コバルト相場は年内に11~12ドル程度まで落ち込むとの見方が強い。(桝田大暉)

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