シンガポール総選挙、与党が勝利 野党は議席増

2020/7/11 5:03 (2020/7/11 6:32更新)
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投票するリー・シェンロン首相(10日)=シンガポール政府提供

投票するリー・シェンロン首相(10日)=シンガポール政府提供

【シンガポール=中野貴司】10日投票のシンガポール総選挙(一院制、定数93)の開票結果が11日未明に発表され、1965年の独立以来政権を握る与党・人民行動党(PAP)が83議席を獲得し勝利した。ただ、得票率は前回15年の69.9%から61.2%に大きく下がった。

主要野党の労働者党(WP)は10議席と、前回15年の6議席から上積みし、党勢を拡大した。PAPは憲法改正に必要な3分の2を上回る約9割の議席を引き続き確保するものの、「一党支配」が盤石でないことを印象づけた。

PAPを率いるリー・シェンロン首相は11日早朝の記者会見で「得票率は私が期待していたほどではなかった」と厳しい表情で話した。「特に若い世代は多くの野党議員が増えて欲しいと感じている」とも指摘し、若年層のPAP離れが苦戦の原因との認識を示した。

今回の総選挙は新型コロナウイルスの感染拡大が続き、独立以来、最悪の経済危機に陥る中で、実施された。PAPは選挙戦で雇用の維持・確保を優先課題として、10万人の新規雇用の創出や中高年の再雇用支援などを公約に掲げた。

年間国内総生産(GDP)の約20%に相当する巨額の経済対策を実施した実績も訴え、危機下で安定を求める有権者の支持を固めた。

労働者党は最低賃金制度の創設など安全網の充実を訴え、PAPへの白紙委任を防ぐためにも野党の議席拡大が不可欠だと強調した。改選前に保持していた6議席を守ったほか、PAPが現職閣僚を擁立した選挙区でも新たに議席を獲得した。野党の議席数が2ケタに達したのは、独立以来初めてとなる。

リー・シェンロン首相の弟のリー・シェンヤン氏が入党し、支援したシンガポール前進党(PSP)は野党で最多の候補者を擁立したものの、議席獲得には至らなかった。

シンガポールは4~5人の候補者がチームを組み立候補する「グループ選挙区」と、個人が立つ「単独選挙区」を組み合わせた特殊な選挙制度を採用する。グループ選挙区は多数を得た党が議席を総取りする仕組みのため、現職が多く、組織力でも勝るPAPに有利に働くとされる。今回もPAPの得票率は61.2%にとどまったものの、議席の占有率は約9割と得票率を大きく上回った。

新型コロナの感染拡大を防ぐため、今回の選挙戦ではソーシャルディスタンス(社会的距離)の確保が難しい大規模集会が禁止された。与野党はフェイスブックやツイッターなどのSNS(交流サイト)を活用し、支持を訴えた。

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