コロナ感染再燃、対応悩む企業 出社や会食制限も

2020/7/10 21:00 (2020/7/11 5:50更新)
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マスク姿で行き交う人たち(10日、東京都千代田区)

マスク姿で行き交う人たち(10日、東京都千代田区)

東京都で10日、新型コロナウイルスの新規感染が243人確認され、過去最多を連日で更新した。感染増に歯止めがかからない状況だが、国や都は再度の休業要請にはなお消極的だ。企業の間には、感染再燃と経済活動再開のはざまで戸惑いながら「自衛策」を探る動きも出始めた。

2日連続の200人超えは、感染が拡大していた4月にもなかったことだ。小池百合子知事は10日の定例記者会見で、「夜の街」を中心に1日3千件超の検査を実施していることを挙げ、陽性者が一定程度出るのは想定内とした上で、改めて警戒を呼び掛けた。

都は病床や軽症者向け宿泊施設の上積みを急ぐ。小池氏は「医療崩壊を招くことなく、それぞれの方を受け入れる施設を確保していく」と述べた。ただ再度の休業要請といった積極策は打ち出さなかった。

政府も「医療体制は逼迫した状況にない」(安倍晋三首相)と、緊急事態宣言の再発令には繰り返し消極姿勢を示す。

4~5月の同宣言は経済に大きな打撃を与えた。都も重い財政負担が生じ、貯金に当たる財政調整基金を大幅に取り崩した。負荷の大きい対策は避けたいのが本音だ。

むしろ政府の対応は、人の流れを加速させる経済活動の後押しが目立つ。10日にはイベント参加人員を5千人まで認める制限緩和を予定通り実施した。観光振興の「Go To トラベル」事業も前倒しで22日から始めると発表した。

菅義偉官房長官は10日の会見で「感染状況を注視しつつ、感染拡大防止と社会・経済活動の両立に取り組んでいくことが大事だ」と強調した。感染状況をコントロールできているかとの問いには「感染リスクをゼロにすることはできない」と応じた。政府高官は「国はウィズコロナでやっていくと決めた。ある程度の感染者数の増加は覚悟の上だ」と語った。

感染拡大を防ぎたい都と、国との足並みの乱れが露呈する場面もあった。小池氏は4日、「不要不急の他県への移動は控えてほしい」と都民に呼び掛けたが、菅官房長官は7日の会見で「現時点で県をまたいだ移動の自粛を一律に要請する必要はない」と発言。ズレが浮き彫りになった。

国と都が一体的な積極策を打ち出さない中、一部企業は出社などの制限に再び動きつつある。

対話アプリのLINEは緊急事態宣言解除後に週1日以上出勤するルールを設けたが、このほど都内オフィス勤務者を対象にこれを取り下げ、不要不急の外出を控えるよう社員に通達した。自動車部品ジーテクトは独自に設けた4段階の基準に照らし、上から2番目の警戒すべきゾーンに入ったとして、本社の従業員の出社率の目安を40%から30%に引き下げた。

ニコンは6日から会食を控えるよう各部門に通達を出した。LIXILは社外との会食は安全確保と上長の許可が必要とした。許可が下りても1次会までとし、10人以上の会食は認めない。

東芝は国内外の出張の原則禁止を継続。ジーテクトは原則解禁していた国内出張を、関東と関西間の移動を伴う場合は6日から禁止した。

一方、国などが再自粛を求めていない以上、制限を緩和するケースもある。商船三井は9日から、相手の意向を確認し感染対策を徹底した上で会食を解禁。国内出張を解禁したある食品メーカーは「政府方針が固まらない中で規制を強めると従業員から不満が出て対応しにくい」と明かす。

自治体からも警戒の声が上がる。全国知事会は10日、「Go To トラベル」事業について「新型コロナの拡大要因となることだけは避けなければならない」として、感染状況に応じた段階実施などを求める緊急提言をまとめた。

茨城県の大井川和彦知事は同日の会見で、県民に「東京都への不要不急な移動について慎重に対応してほしい。中身的には自粛(の要請)とほぼ同じ」と呼び掛けた。都の感染対策についても「(休業要請などに代わる)提案がないままここまで来ている。近隣県の知事としては不安視せざるを得ない」と述べた。

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