地元議員ら「不問」に疑問の声 河井夫妻買収事件

社会・くらし
2020/7/10 18:58
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2019年7月の参院選を巡る公職選挙法違反事件で、検察当局は前法相の河井克行被告(57)らから現金を受領したとされる地元議員らについて刑事処分を見送る方針だ。過去にはより少額の受領で有罪とされた買収事件もあり、今回の事件を巡る検察の対応に疑問の声が出ている。

東京地検特捜部は8日、地元議員ら100人に現金約2900万円を配り買収したとして、克行前法相と妻で参院議員の案里被告(46)を起訴した。受領側の処分については「現時点で起訴すべきものは起訴した」(幹部)と説明し、今後の方針は「捜査の内容に関わる」と答えなかった。

事件で現金を受け取ったとされる地元議員や首長は約40人で、最高額は200万円だった。関係者によると、克行前法相が一方的に現金を渡したり、ベテラン国会議員からの申し出を断ることが難しかったりしたことを考慮し、刑事処分を見送るとされる。

公選法は買収の趣旨を認識して現金を受け取る「被買収」を禁じ、懲役3年以下などの罰則がある。16年参院選では応援演説の報酬として10万円を受け取った男性タレントが同法違反罪で執行猶予付きの有罪判決を受けた。19年4月投開票の青森県議選では5万円を受け取った元町議ら8人に罰金刑などが科された。

過去の事件と比べても多額の現金を受領した議員らを「不問」とした判断に対する疑問の声は多い。広島県の議会関係者は「現金を受領しながら罰も受けなければ『もらい得』になる。検察が厳格に処分しなければ政治不信が深まる」と話す。

検察OBは「受領側の刑事責任を問わないのは異例。過去の選挙違反事件とのバランスを欠き、今後の捜査にも影響を及ぼすのではないか」と話した。

検察が不起訴処分とすれば市民がその是非を問う検察審査会の審査対象になるが、起訴・不起訴を含む刑事処分そのものを見送れば審査の対象にはならない。

甲南大法科大学院の渡辺修教授(刑事訴訟法)は「地元の選挙結果をひっくり返すような捜査は慎重であるべきで、訴追を国会議員にとどめ、地方政治家の扱いは民意に委ねるという意向もうかがえる」と述べた。そのうえで「組織的な犯罪ともみえる今回の事件で受領側を一律に不問とするのは恣意的ではないか。捜査の結果が明らかにされず、個々の責任がうやむやになる恐れがある」と指摘した。

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