総雨量、全国571地点で150ミリ超 土砂災害警戒を

2020/7/10 18:48 (2020/7/11 5:17更新)
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豪雨で被害を受けた熊本県球磨村を歩く女性。右下はJR肥薩線の線路(10日午後1時6分)=共同

豪雨で被害を受けた熊本県球磨村を歩く女性。右下はJR肥薩線の線路(10日午後1時6分)=共同

九州や本州で降り続く豪雨による総雨量で、土砂災害の警戒が必要な「150ミリ」を超えたのは、10日までに全国の観測点の4割強に上っている。豪雨災害の発生から11日で1週間。活発な梅雨前線は日本の上空に停滞しており、今後も土砂災害や河川氾濫に十分な警戒が求められる。

発達した梅雨前線の影響で九州北部は10日も大雨となり、佐賀県嬉野市では1時間に64.5ミリの非常に激しい雨を観測した。雨は3日から各地で断続的に降り、1週間が経過しても収束の見通しが立たない。気象庁によると、3日から10日午後2時までの総雨量が150ミリを超えたのは、全国の観測点1293のうち、38都府県の計571地点に上っている。

「24時間雨量」が観測史上最大になったのは7県の計23地点。氾濫した筑後川上流の大分県日田市では497.0ミリを記録した(7日午後1時までの24時間)。7月の1カ月の降水量の平年値は333.4ミリで、わずか1日で1カ月分の約1.5倍の雨が降った計算になる。

近年、地球温暖化の影響もあり、従来の想定を超える豪雨が頻発するようになっている。雨雲が同じエリアで発生し続け総雨量が増える「線状降水帯」が形成されるのが要因で、今回も記録的な豪雨をもたらした。

土砂災害のリスクは地質などに大きく影響されるが、一般財団法人「砂防・地すべり技術センター」の池谷浩研究顧問によると、死者・不明者299人を出した1982年の長崎大水害では累積雨量が150ミリ以上で崖崩れ、250ミリ以上で土石流、300ミリ以上で山の斜面が大規模に崩れる「深層崩壊」が起きた。池谷氏は「これまでにない大雨が広域に降っており、これまでの雨水が土の中に残っていることから、今後の雨にも十分注意が必要だ」と話す。

日本上空には中国大陸からのびる梅雨前線が停滞している。太平洋高気圧が勢力を強めると、梅雨前線を北に押し上げて梅雨明けに至るが、今のところ梅雨明けは見通せない。東京都立大の藤部文昭特任教授は「前線が長く、同じような状況が続いている」と話す。

今回の豪雨に影響を与えているとみられる要因の一つが中国の大雨だ。名古屋大の坪木和久教授は、中国・武漢市付近で例年の4倍近い大雨をもたらした低気圧と湿った空気が東に進んだことで、日本国内でも豪雨につながったと分析する。

九州大の川村隆一教授は「根っこにあるのは偏西風の蛇行だ」と指摘する。大気圏上層部を流れる偏西風が日本上空で大きく蛇行し、東シナ海の海上に気圧が低い「気圧の谷」が生まれた結果、湿った空気が流れ込む要因になったとみる。

大雨は今後も警戒が必要だ。11日にかけて本州付近にかかる前線上を低気圧が進み、西日本から東北地方では再び大雨となる恐れがある。15日までは雨が降りやすい状況が続くという。

気象庁天気相談所の立原秀一所長は「向こう1週間は梅雨明けはないと考えている。梅雨前線の影響が長期化しそうだ。雨の強弱はあっても警戒を緩めないでほしい」と呼び掛けている。

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