バイデン氏75兆円対策、中小に手厚く トランプ減税と差

米大統領選
2020/7/10 18:00
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9日、米東部ペンシルベニア州で演説するバイデン前副大統領=ロイター

9日、米東部ペンシルベニア州で演説するバイデン前副大統領=ロイター

【ワシントン=中村亮】11月の米大統領選で野党・民主党の候補指名を固めたバイデン前副大統領は9日、7000億ドル(75兆円)の政府支出案を発表した。巨額の政府支出で中小製造業を支援し、大統領選の行方を左右する白人労働者票を狙う。世論調査では劣勢を強いられているトランプ大統領は最大1兆ドル規模の給与減税など減税拡充で反撃を目指す。

「私が大統領に選ばれれば労働者の家庭を徹底的に支援する」。バイデン氏は東部ペンシルベニア州の金属加工施設での演説で力説した。「ドナルド・トランプは株価にばかり関心を払っている」と断じ、減税中心のトランプ氏の経済政策では大企業や富裕層が優遇されていると批判した。

バイデン氏は具体策として先端技術の研究・開発や米国製品購入のために4年間で7000億ドルの政府支出を行うと表明した。製造業中心に中小企業への支援を充実させると訴え、トランプ減税で大企業を重点支援するとみるトランプ氏との違いをアピールした。

トランプ氏の企業支援の柱である大型減税の規模は10年で1兆5千億ドル(単純計算では4年で6千億ドル)。オバマ政権がグリーン・ニューディールなどとしてまとめた景気対策規模は7870億ドルだった。バイデン氏が打ち出した今回の7000億ドル支援策はこうした経済対策に匹敵する。

バイデン氏はオバマ政権で環太平洋経済連携協定(TPP)を推進した。今回は自由貿易のメッセージを盛り込まず、米国人の雇用を重視した内向き姿勢を打ち出した。

代表例が政府調達で米国製品を優先する「バイ・アメリカン条項」の厳格適用の表明だ。さらに米国製品の認定基準を厳しくし、米国製の部材や原材料の利用を増やすよう促すとも主張。製造業は米国に生産拠点を設けるべきだとの考えはトランプ氏と似る。

バイデン氏の主張の背景には大統領選の勝敗を左右する「ラストベルト(さびついた工業地帯)」の白人労働者の票を集めたい思惑がある。

英誌エコノミストとユーガブの共同世論調査によると、バイデン氏の白人の支持率は40%とトランプ氏(50%)を下回り、バイデン氏にとって白人票の取り込みが最優先課題となっている。

今回バイデン氏が演説場所に選んだペンシルベニアのほか、中西部ミシガン州、ウィスコンシン州は大学を卒業していない白人の多くがブルーワーカーとして働く。米センター・フォー・アメリカン・プログレスによると、16年の大統領選で投票した有権者のうち、非大卒の白人の割合は3州で5割に達する。

2016年の大統領選では、この3州の白人票をトランプ氏が奪取し、勝利につなげた。米リアル・クリア・ポリティクスによると、同3州において今回はバイデン氏の支持率がトランプ氏を6~7ポイント上回る。白人労働者を重視する政策でこの地域でのリードを強めたい考えだ。

トランプ氏は11日、東部ニューハンプシャー州で支持者集会を開き、反転攻勢の機会をうかがう。トランプ氏は給与税の減税に意欲を示す。実現すれば1兆ドル規模になる可能性がある。ホワイトハウスに近い経済学者は「企業負担を軽くして雇用を増やしやすくする措置だ」と指摘する。

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