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自分で動いて自分を磨く サッカー・中町公祐(下)

2020/7/12 3:00
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4月に日本に一時帰国した中町公祐(34)は、NPO法人の代表として企業等の挨拶回りにいそしむ。多忙は励みになっている。

「選手生活はケガとかあって決していいことばかりではない。そういう時にNPOの活動に救われる部分がある。人の役に立つ実感があり、助ける自分の方が助けられるというか」

ザンビアの子供たちとの交流。妊婦らに衛生的な環境を提供するシェルター建設を進める

ザンビアの子供たちとの交流。妊婦らに衛生的な環境を提供するシェルター建設を進める

選手と社会貢献の二刀流の目覚めは、横浜M時代に遡る。友人に誘われ、試合に勝つごとにガーナにサッカーボールを送る活動を始めた。以来、現地の実情や送った物資がきちんと欲しい人に届いているのか気にかかるようになった。

2018年のサッカー・ワールドカップ期間中のオフを利用し、ガーナに飛んだ。衝撃を受けた。「将来の夢は?」と尋ねても反応が鈍い現地の子供たち。幼い命の生存を脅かすリスクも日本と比べたら桁違い。15年に生後間もない長男・彪護(ひゅうご)くんを亡くすというつらい思いをしたこともあり、妊婦や母親に安全で衛生的な環境を提供するシェルターの建設を思い描くようになった。

ガーナで別の気づきもあった。「案外住めるな」。アフリカに渡り、プレーで知られる存在になれば、社会活動と相乗効果が生まれるかもしれない。後に続くJリーガーのための基盤もつくりたい。そんな思いを抑えきれず、踏み込んだアフリカの地。そこで今は現役選手初の日本サッカー協会国際委員も務める。

シェルターの建設は雨期もあってなかなか工事が進まないが、着実に形になりつつあるという。台湾のNPOと組んで大量の靴をアフリカに届ける計画も進行中。「ただ物を送るだけではなく、自立につながる支援、雇用を生み出すスキームを今は模索している」

中町には「サッカーは自分磨きだ」という認識がある。この競技には打率、防御率のような明確に優劣を示す指標はない。それでも何らかの形で評価され、プロの世界なら年俸が上下する。「自分ではそんな変わった気はしなくても、それで自分の価値に常にフォーカスし、自分で価値をつくり上げる癖がついた」

うつろいやすい世界で磨かれたのはセルフプロデュースの感覚だろうか。

「誰に頼まれたわけでもないが、自分で自分に期待をする。自分を磨くために新しい環境に飛び込んで新しい信用を築く。その過程が好き。言葉に重みを持たせるには自分から動かないと」

次々と吐き出される熱い言葉。司馬遼太郎の「燃えよ剣」の主人公、土方歳三を愛する中町の極め付きのセリフは「なりたいのは本物の男」だろうか。己を研ぎ、人の夢を育むフットボーラーの旅は、まだ終わりそうにない。=敬称略

(武智幸徳)

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 中町公祐(34)には2つの顔がある。プロサッカー選手と、サッカーと医療でアフリカを支援するNPO法人「Pass on」の代表理事の顔である。

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