フォートナイト出資 ソニーが夢見るゲーム×エンタメ

2020/7/10 11:30
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エピックゲームズが手がける人気ゲーム「フォートナイト」は3億5千万人超が登録する

エピックゲームズが手がける人気ゲーム「フォートナイト」は3億5千万人超が登録する

ソニーがゲームを軸にエンターテインメント事業を強化しようとしている。人気ゲーム「フォートナイト」を手がける米エピックゲームズに2億5000万ドル(約270億円)出資すると10日に発表。ソニーの映画や音楽などのコンテンツとゲームの融合を狙う。エピックのゲームファンとの接点を生かし、オンラインを通じた交流型のエンタメ事業を模索する。

「協業の深化を模索し、ゲーム分野に限らず急速に発展するデジタルエンターテインメントで価値を提供する」。ソニーの吉田憲一郎会長兼社長はエピックへの出資を発表したリリースでこうコメントした。ソニーの出資比率は約1.4%になる。

エピックはオンライン対戦ゲームのフォートナイトで急成長した。オンラインで多数が同時に遊べて、世界で3億5千万人を上回るプレーヤーがこのゲームに登録する。50~100人がゲーム上で一堂に会して戦い合うといった「バトルロイヤル系」と呼ばれるゲームの一つとして「eスポーツ」の競技種目になるなど、高い人気を誇る。

フォートナイトはeスポーツでも扱われる人気ゲームだ

フォートナイトはeスポーツでも扱われる人気ゲームだ

ソニーは「プレイステーション(PS)4」で同ゲームを提供している。既に協力関係にあり、技術面で連携してきた。エピックはCG(コンピューターグラフィックス)を生かしたゲームを制作するためのシステム基盤を提供している。この技術をソニーは自社のゲーム開発に役立ててきたほか、仮想現実(VR)向け音楽映像の制作にも活用している。

フォートナイトはゲームの枠を超えたエンタメのプラットフォームに進化しつつある。ソニー所属の著名ラッパー、トラビス・スコットさんはゲームの世界で音楽ライブを開催。3日間で2800万人が視聴した。ソニーは交流型を強みとするフォートナイトのコミュニティーで、自社の音楽や映画を展開することも検討していく。

ソニーはゲームや音楽など事業ごとに子会社がある。ゲームに限った連携ならゲーム子会社のソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)から出資するのが一般的だ。ソニーの米国本社を通じて出資することからも、幅広い領域で協業を模索する意図がうかがえる。

米動画配信ネットフリックスのリード・ヘイスティングス最高経営責任者(CEO)は「ケーブルテレビ(の競合)よりもオンラインゲームの『フォートナイト』と競っている」と指摘したことがある。スマートフォンやパソコンを巡る消費者の時間の奪い合いが激しさが増す中、フォートナイトの存在感の大きさを警戒する。

ソニーの吉田憲一郎会長兼社長は「深化と探索」を経営のキーワードとしてきた

ソニーの吉田憲一郎会長兼社長は「深化と探索」を経営のキーワードとしてきた

ソニーの吉田氏は「深化と探索」というキーワードを経営手法の一つとして繰り返してきた。音楽出版の会社を買収するなど、これまでは個々の事業を深掘りする「深化」に力を入れてきた印象が強い。4月には中国の動画配信大手のビリビリにも出資しており、新たな事業やサービスの可能性を模索する「探索」にも経営資源を積極的に振り向け始めている。

この数年で大きな市場となったコンテンツ消費の市場で、ネットフリックスなど異業種を含めた競合とどう戦っていくか。フォートナイトで狙う「ゲーム×エンタメ」の成否が成長へのカギを握ることになる。

(清水孝輔)

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