Google系「空飛ぶ基地局」 ケニアで始動

BP速報
2020/7/10 13:22
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飛行するルーンの機体(出所:ルーン)

飛行するルーンの機体(出所:ルーン)

日経クロステック

米アルファベット子会社の米ルーンは、地上20キロの成層圏を長期間飛び続ける無人飛行体「HAPS(ハップス)」を利用する通信サービスをケニアで本格的に始めた。ケニアの西側と中央部にまたがる約5万平方キロメートルをカバーする。通信速度は、下りで毎秒約19メガビットに達する。利用する機体数は、約35台かそれ以上にする予定だという。今後数週間かけてこの台数を実現する。パートナーはケニアの通信事業者テレコム・ケニアで、同社の契約者に向けてサービスを提供する。

ルーンの前身は米グーグルの研究機関「X」のプロジェクトの1つ。現在は独立し、グーグルを傘下にするアルファベットの子会社である。

ルーンはこれまでケニアで試験運用を続けていたが、今回大規模な運用に移行する。以前からケニアで実施しているテストを含めると、既に3万5000人以上が、ルーンのHAPSを利用して通話やインターネットを利用したという。

ルーンはこれまで災害用として豊富な実績を持つ。今回のような非災害用途で、かつ35台ほどの機体を運用する大規模なサービスはルーンにとって初だという。

6月下旬のフィールド試験では、下りの通信速度が毎秒18.9メガビットに、上りの速度が4.74メガビットに達したという。遅延時間は19ミリ秒とする。その後もテストを続けて、ルーンとテレコム・ケニアは、音声通話とビデオ通話、動画共有サイト「YouTube(ユーチューブ)」の視聴、メール、ウェブページの閲覧などを問題なく実行できたとする。

ビデオ通話の様子(出所:ルーンの公式動画をキャプチャーしたもの)

ビデオ通話の様子(出所:ルーンの公式動画をキャプチャーしたもの)

笑顔でビデオ通話するテレコム・ケニアの関係者(出所:ルーン)

笑顔でビデオ通話するテレコム・ケニアの関係者(出所:ルーン)

HAPSは、高度約20キロの成層圏を長期間にわたって無着陸で飛び続ける無人飛行体である。搭載した太陽電池パネルや2次電池によって、数カ月といった長い期間、成層圏にとどまり続けて、スマートフォンなど通常の移動端末に対する基地局、あるいは他の基地局と基幹網を結ぶ中継局として利用される。

ルーンによれば、地上設備や衛星による通信でインターネットを利用できる人が増えたものの、世界人口の約半数に相当する38億人近くがいまだにインターネットにアクセスできない状況にあるという。

インターネットアクセスの成長率も近年、鈍化しつつある。同社によれば、2007年の成長率は約19%だったものの、18年には6%未満だったという。この状況を打破するのに、ルーンが提供するHAPSが重要な役割を果たすとしている。

HAPSにはいくつかのタイプがあり、ルーンの機体は気球(バルーン)型である。可搬重量(ペイロード)が大きく大容量通信装置を積みやすい、機体の製造コストが安い、離着陸が容易といった利点がある。一方、風で動きやすく、精密な操縦や定点維持が難しいといった課題がある。そこでルーンでは、気流データを基に高度を調整するなどして、機体の行き先をある程度制御している。

(日経BPシリコンバレー支局 根津禎)

[日経クロステック 2020年7月9日掲載]

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