バイデン氏、製造業強化へ公共投資 500万人の雇用創出

米大統領選
2020/7/10 5:20 (2020/7/10 7:56更新)
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【ワシントン=中村亮】11月の米大統領選で野党・民主党の候補指名を固めたバイデン前副大統領は9日、製造業強化に向けた支援策を発表した。先端技術の研究開発や米国製品購入に4年間で7000億ドル(約75兆円)の公的資金を充て、500万人の雇用創出を目指す。中国の不正な補助金や為替操作にも厳しく対処する姿勢を示した。

バイデン氏は9日、東部ペンシルベニア州の金属加工施設で演説し「中間層の雇用を長期的に確保するため製造業の基盤強化が必要だ」と強調した。与党・共和党候補のトランプ大統領の大型減税は富裕層を潤しただけだと非難し「私は労働者の方が大事だと思っている」と語り、経済格差の是正に取り組むと訴えた。

計画では製薬や自動車、宇宙、情報通信、クリーンエネルギー分野などでの研究開発に3000億ドルを投資する。中国のハイテク産業育成策「中国製造2025」に関して「米国の技術の優位性をなくし、将来の産業を支配する取り組みだ」と指摘。米国も政府主導で技術革新を促す必要があるとの考えを強調した。

連邦政府が4000億ドルを使って、クリーンエネルギー普及やインフラ整備などで使う製品や原材料、サービスを購入する。新型コロナウイルスの影響の長期化を想定し、医療物資の備蓄も大幅に積み増す。政府調達で米国製品を優先する「バイ・アメリカン条項」をめぐり、米国製品の認定条件を厳しくして米国製の原材料などの使用を増やすよう促す。

連邦法人税については、現行の21%から28%に引き上げる立場を堅持した。公共投資などの財源にする考えとみられる。

計画は製造業の国内生産を強く促すものだ。政府から支援を受け、技術革新や商品開発に成功すれば製品の生産拠点を米国に置くべきだとした。海外で生産する場合には補助金を返還するよう求める。製薬会社などの生産拠点の海外移転を防ぐために税制を見直し、国内生産を促す新たな支援策を打ち出すとも訴えている。

米国の製造業を守るために中国の不公平な商慣行にも切り込む。具体的にはアンチダンピング(不当廉売)や為替操作、国有企業による競争の阻害、不公平な補助金に対処するとした。鉄鋼や造船などの過剰生産問題に関し、同盟国と協力し中国政府に是正を迫ると強調した。米企業からサイバー攻撃などで機密を盗んだ中国企業は米国市場から締め出すとした。

バイデン氏が製造業の強化を訴えるのは、大統領選の結果を左右する「ラストベルト(さびついた工業地帯)」の労働者票を狙ったものだ。ペンシルベニア州はその一つで2016年の大統領選では「米国第一」の経済政策を打ち出したトランプ氏が白人労働者の支持を得て僅差で制した。

バイデン氏は新型コロナの感染拡大後、オンラインでの選挙活動に重点を置いてきたが、今回の演説を皮切りに遊説にも徐々に力を入れていくとみられる。

ペンス副大統領も9日、ペンシルベニア州を訪れて資金集めのイベントや経済活動の再開を巡るラウンドテーブルを開いた。トランプ氏の選挙陣営は同日の声明で、バイデン氏が副大統領を務めたオバマ前政権の経済政策によって08年の金融危機からの経済回復は1930年代の大恐慌以降で最も緩慢だったと批判。中国に弱腰だったことで米国の雇用が失われたとも主張した。

バイデン氏とトランプ氏は米国人の雇用重視をともに打ち出したが、バイデン氏は公共投資により大きな比重を置いた。トランプ氏は原則的に減税や規制緩和によって民間企業をテコに雇用を生み出す考えを示しており、経済政策に理念の違いが浮かび上がってきた。

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