トランプ氏の納税財務記録の開示拒否認めず 米最高裁
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【ワシントン=芦塚智子】米連邦最高裁は9日、トランプ大統領はニューヨーク州の検察当局が求めた納税申告書を含む財務記録の提出を拒否できないとの判断を示した。一方で下院の調査委員会が求めていた開示は認めず、下級審に審理を差し戻した。

いずれも最終決着までには時間がかかる見通しで、11月の米大統領選の前にトランプ氏の財務記録が公になる可能性は低くなった。
ニューヨーク州の検察当局は、トランプ氏の過去の不倫疑惑を巡る口止め料支払いの捜査で財務記録の提出を要求。トランプ氏側は「大統領は任期中、刑事訴追から免責される」と主張していた。最高裁の判断は「大統領といえども、犯罪捜査で求められた証拠を提示する義務を無条件に免れない」とした。
ただ、最高裁はトランプ氏側が下級審で再び争うことも認めた。捜査中の案件に関わるため、財務記録が提出されても一般に公開されるかどうかは不透明だ。
検察の捜査とは別に、下院の調査委員会がトランプ氏の会計事務所に財務記録の開示を求めていた案件に関しては、最高裁は「権力の分立」についての審理が十分ではないとして差し戻した。判断はいずれも7対2だった。
トランプ氏は同日、記者団に対し、最高裁の判断について「基本的に(審理を)やり直しということだ。ある面では満足だが、別の面では不満だ」と表明。ニューヨーク州の検察当局の捜査を「政治的な魔女狩りだ」と批判した。
歴代大統領は慣例として納税申告書を公表してきたが、トランプ氏は一貫して拒否している。