日銀の景気判断、全地域で引き下げ 観光・輸出厳しく

2020/7/9 21:26
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テレビ会議方式の支店長会議に臨む日銀の黒田総裁(左から2人目)ら(9日、日銀本店)

テレビ会議方式の支店長会議に臨む日銀の黒田総裁(左から2人目)ら(9日、日銀本店)

新型コロナウイルスの影響で地方景気が一段と冷え込んでいる。日銀は9日発表した7月の地域経済報告(さくらリポート)で、前回4月に続いて全国の9地域すべての景気判断を引き下げた。訪日客需要が蒸発し、生産も低迷が続く。設備投資や雇用を抑える動きも広がり、影響は長引く可能性が高い。

日銀は同日、四半期に1度の支店長会議をオンライン開催した。黒田東彦総裁は「景気は新型コロナの影響できわめて厳しい状態にある」と話した。

今回のリポートは「大幅に悪化」「きわめて厳しい状態」などの文言が並び、地方経済の落ち込みが鮮明となった。2四半期連続で全地域の判断を下方修正したのはリーマン危機後の2008年10月と09年1月以来だ。

項目別に見ると消費の厳しさが際立つ。判断はさかのぼれる05年以降、初めて2四半期連続で全9地域で引き下げた。世界的な移動制限で訪日客が激減し、国内でも県境をまたぐ移動の自粛が続くためだ。

日銀の聞き取りによると、観光への依存度の高い北海道や沖縄などでは「渡航制限で需要が蒸発し、稼働率は過去最低水準」(那覇のホテル)、「緊急事態宣言の解除後も予約は全く回復せず、今年度末まで休業する」(札幌の宿泊)といった声が相次ぐ。小売りでも「入国制限の解除を経て回復するまでは時間を要する」(大阪の百貨店)との見方が出ている。

生産は九州・沖縄を除く8地域で判断を引き下げた。自動車や機械の輸出が急減している。「過大な部品在庫を抱えており、コロナ前の水準まで生産が回復するまで今年いっぱいはかかる」(松本の輸送用機械)、「需要縮小の規模や速度はリーマン危機時をはるかに上回る」(岡山の繊維)などの悲鳴が漏れる。

苦境の業種は幅広い。「経済活動再開が早かった中国からの受注が持ち直している」(名古屋の生産用機械)などの声は一部にとどまる。

経営環境の急激な悪化を受け、設備投資の下方修正は前回の2地域から7地域に広がった。「現金の減少を極力抑えるため、店舗改装投資を全面凍結する」(札幌の小売り)など企業は「守り」の姿勢を強めている。成長分野への投資意欲は消えてはいない。「人工知能(AI)など向けの研究開発はこれまで通り」(名古屋の生産用機械)との声も聞かれた。

雇用・所得の判断は09年1月以来、11年半ぶりに全9地域での下方修正となった。「冬季賞与を大幅に減額する」(金沢の繊維)、「来年度の新卒採用を半分に減らす」(秋田の生産用機械)などの声が相次いだ。

投資の抑制や雇用の悪化が続けば、景気の低迷は長引きかねない。

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