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アマビエ、唯一の現存資料(展覧会評)

驚異と怪異―モンスターたちは告げる

「肥後国海中の怪(アマビエの図)」(1846年、京都大学附属図書館蔵)

「私は海中に住むアマビエだ。今年から6年は豊作だが、あわせて病が流行(はや)る。私の姿を写し人々に見せるように」と告げて海に消えていった。新型コロナウイルスの被害が広がるにつれ、この不思議な話とアマビエの図が一躍有名になった。今ではSNSにより、日本国外にも広まっているらしい。

では、この話と図の根拠は何なのか? 実は、京都大学附属(ふぞく)図書館所蔵の版画から全てが始まっている。そして、現存資料はこの1枚だけである。いま、それが姫路市の兵庫県立歴史博物館で開催中の特別展「驚異と怪異―モンスターたちは告げる」で公開されている。

この展覧会は4月25日スタート予定で準備していたものだが、新型コロナウイルスの影響で約2カ月遅れとなった。その間にアマビエが有名になってしまったというわけである。これは全く想定外のことであり、展覧会スタッフは大変だったと聞く。こういう盛り上がり方をした展覧会は他に例がない。

この展覧会は人魚、怪鳥、一角獣など世界のモンスターを紹介する意欲的なものである。どの出品作品も面白い。しかし現在、このアマビエが目玉作品となっている。私の姿を人々に見せるように、とアマビエが告げたのは弘化3年(1846年)頃である。それから170年以上も経って、展覧会という形でそれが実現するとはアマビエも予想できなかったはずである。

この特別展は展示室内の混雑緩和のため入場制限を行う場合がある。ただし、兵庫県立歴史博物館のホームページからオンライン予約しておけば間違いなく入場できる。8月16日まで開催。

(大阪芸術大学教授 五十嵐 公一)

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