佐川急便、AI活用で再配達防ぐ 9月に実証実験
SGホールディングス傘下の佐川急便と東京大学大学院などは9日、再配達の削減を目指す研究を進めると発表した。神奈川県横須賀市と東京電力ホールディングスなどが設立したグリッドデータバンク・ラボ有限責任事業組合が参画する。スマートメーター(次世代電力計)のデータを基に効率的な配送ルートを作成する研究で、2020年9月に同市で実証実験を行う。
スマートメーターから送られてくる電力使用量のデータなどから人が室内にいるかどうかを予測する。日本データサイエンス研究所が開発した人工知能(AI)が在宅している届け先を優先した配送ルートを割り出す。
9月ごろから横須賀市池田町などの最大200世帯の住民に協力を求め、佐川急便の配達員が荷物を配送する。実験は3カ月ほど行い、課題を検証して22年度中の実運用を目指す。
慢性的な人手不足に悩む物流業界では再配達が現場の業務を圧迫している。個人向け配送における再配達は約20%を占め、年間9万人の労働力に相当するとされる。佐川急便の本村正秀社長は「新型コロナウイルスの影響で消費者向けの荷物が急増している。再配達のないシステム作りを急ぐ」と話している。