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逸失利益、定期払い容認 交通事故で最高裁初判断

(更新)

交通事故に遭わなければ将来得られたはずの「逸失利益」の賠償方法が争われた訴訟の上告審判決が9日、最高裁第1小法廷(小池裕裁判長)であった。同小法廷は一般的な一括払いだけでなく、月1回など定期的な支払いも認められるとの判断を示した。定期払い期間中に被害者が亡くなった場合でも賠償義務は続くとの初判断も提示した。

裁判官5人全員一致の結論。交通事故の後遺障害による逸失利益を巡り、最高裁が定期払いを認めたのは初めて。

事故で障害を負い、働けなくなった場合は、将来の収入分などを逸失利益として賠償額を計算する。実務上は一括で先払いする方法が原則とされてきた。速やかな賠償が実現する一方、将来の利息分が控除されるため、被害者にとっては賠償額が少なくなる。

定期払いでは利息分が控除されないため、一括方式と比べて賠償額は増える。障害の進行状況や賃金水準の変化に応じ、柔軟に条件を変更できるようにもなる一方、加害者の失踪などで賠償が滞るリスクがある。保険会社にとっては長期間にわたって支払いを管理する必要性が生じるなど、実務に広く影響しそうだ。

同小法廷は交通事故を巡る逸失利益について「将来、算定の基礎となった後遺障害の程度、賃金水準などに著しい変更が生じ、算定と現実の損害額が大きく乖離(かいり)することもあり得る」と指摘。被害者側の意向に沿って、定期払いを認めるべきだとした。

一括払いとの間の公平性を保つために、被害者が亡くなった時点で賠償を打ち切るべきではなく、死亡後も賠償義務は続くと判断した。このケースについて、裁判長を務めた小池裁判官(裁判官出身)が補足意見で「定期の賠償を、現在価値に引き直した一括の賠償に変更する訴えを起こすことも検討に値するように思われる」との見解を示した。

この訴訟では、2007年に4歳で交通事故に遭い、高次脳機能障害を負った北海道の男性(17)とその両親が、運転手や保険会社などを相手取り、月ごとの賠償を求めていた。第1小法廷は事故がなければ就労できた18~67歳まで毎月約35万円を支払うように認めた一、二審判決を支持。一括払いを主張した運転手らの上告を棄却した。

被害男性の両親は判決後、「定期の賠償が認められてよかった。全く働けない状況で生きる場合、一括払いでの賠償額では不安が大きかった」とのコメントを公表した。

男性側の代理人を務めた青野渉弁護士は判決を評価する一方で「定期の賠償を選んだ場合、被害者にとっては一生涯、保険会社との間で紛争が続く負担があるなどのデメリットもある。選択には慎重な判断が必要だ」としている。

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