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海外競馬も続々再開 異例の日程、賞金は減額

2020/7/11 3:00
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新型コロナウイルス感染拡大の影響で休止されていた世界各国の競馬が続々と再開している。主要国ではフランスが5月11日、英国が6月1日から無観客での開催を始めた。ただ、各国のダービーが当初予定から延期されるなど、例年とは違うスケジュールでレースが行われている。無観客による収入減もあり、賞金も減額されており、再開後も厳しい状況が続く。

フランスでは5月11日に無観客で競馬を再開。騎手はマスクをつけてレースに臨んだ(ロンシャン競馬場)=ロイター

フランスでは5月11日に無観客で競馬を再開。騎手はマスクをつけてレースに臨んだ(ロンシャン競馬場)=ロイター

競馬主要国・地域では日本や香港などは感染拡大後も無観客開催を続けた。オーストラリアでは一部が中止されたものの、大半の州で無観客での競馬が行われている。米国では一部の競馬場が無観客での開催を継続したが、中止となるケースも多かった。5月2日に予定されていたケンタッキーダービー(G1、チャーチルダウンズ)が9月5日に延期されるなど大きな影響があった。

英名物レース「グランドナショナル」中止

一方、欧州では3月ごろから相次いで全面的に競馬がストップした。英国は3月18日以降の開催を休止した。障害競走が盛り上がる時期で、休止直前の3月10~13日に行われた障害競馬の最大の祭典、チェルトナムフェスティバルでは、4日間で合計25万人以上の観衆を集めていた。

だが、難易度の高い障害をいくつも飛越し、約7千メートルという長距離を走る、英国で最も人気のあるグランドナショナル(エイントリー)は4月4日の開催が中止となった。その後、「チェルトナムフェスティバルがコロナウイルスの感染を拡大させた」との批判にもさらされたことを考えても、開催の継続は難しい状況だった。

その英国では無観客での平地競走が6月1日に再開。落馬などの事故によるケガで医療資源を圧迫しないようにする狙いなどから、再開当初は出走可能頭数を最大12頭(重賞など格の高いレースを除く)に絞り、安全性を高める策をとった。事故のリスクの高い障害競走は7月1日に再開と平地よりも遅くした。

海外からの出走馬の受け入れも制限した。再開当初の2週間は、海外馬が出走できるのはG1のみ。その後はG1以外の重賞などでも出走可能となり、徐々に海外馬が出られるレースが増えている。

その他の欧州主要国では、3月24日を最後に休止していたアイルランドが6月8日に無観客で再開。3月17日以降、休止となったフランスでは5月11日に無観客開催を始め、7月11日からは5千人を上限に競馬場への入場を認める予定だ。

1カ月遅れで行われた英ダービーは伏兵のサーペンタイン(右端)が逃げ切り勝ちの波乱の決着となった(エプソム競馬場)=ロイター

1カ月遅れで行われた英ダービーは伏兵のサーペンタイン(右端)が逃げ切り勝ちの波乱の決着となった(エプソム競馬場)=ロイター

ただ、通常、欧州の平地競馬の本格スタートが3月末から4月初めごろであることを考えれば、2020年は大幅に遅れてのシーズン開幕となった。レースの日程も大幅に変わっており、例えば、当初6月6日に開催予定だった英ダービー(G1、エプソム、芝約2400メートル)は7月4日に延期された。例年、ダービーの前哨戦として行われていたレースが今年はダービー後に組まれるなど、異例の編成となっている。

日程の影響?実力馬、相次いで敗れる

こうしたことも影響してか、再開後のG1では実力馬が敗れたり、波乱の決着に終わるケースも目立つ。英ダービーでは単勝26倍という伏兵、サーペンタイン(牡、アイルランド)が逃げ切り勝ち。1週間前のレースで初勝利を挙げたばかりだったが、3歳クラシック1冠目の英2000ギニー(G1、ニューマーケット、芝約1600メートル)を勝ったカメコ(牡、英)などを破った。

その2000ギニーでも、20年の3歳クラシックで最大の注目株だったピナツボ(牡、英)は伸びきれずに3着に敗れた。19年の欧州最優秀2歳牡馬で、競走馬の能力を数値化した指標であるレーティングでも歴代最強クラスと評価され、2000ギニーでは単勝約1.8倍の圧倒的な1番人気に推されていた。続く2戦目のセントジェームズパレスステークス(G1、英・アスコット、同)でも最後方から伸びたものの2着に敗れた。

4歳以上の古馬では、17、18年にフランスの凱旋門賞(G1)を連覇したエネイブル(牝6、英)が5日のエクリプスステークス(G1、英・サンダウン、芝約2000メートル)で復帰したが、逃げたガイヤース(牡5、英)をとらえられず2着に敗れた。「初戦の今回が体調のピークであるわけではない。ここを使ってもっともっと良くなる」とエネイブルを管理するジョン・ゴスデン調教師はエクリプスSのレース前から語っていたとはいえ、単勝1番人気に応えられなかった。

無観客開催のため、7月4日の英ダービー当日もスタンドはガラガラだった(エプソム競馬場)=ロイター

無観客開催のため、7月4日の英ダービー当日もスタンドはガラガラだった(エプソム競馬場)=ロイター

一方、3歳牝馬ではラブ(アイルランド)が英1000ギニー(G1、ニューマーケット、芝約1600メートル)、英オークス(G1、エプソム、芝約2400メートル)を勝って英牝馬2冠を達成。仏オークス(G1、シャンティイ、芝2100メートル)ではディープインパクト産駒のファンシーブルー(アイルランド)が勝つなど、見どころもあった。

賞金減額、無観客が影響

レース再開で海外の競馬界にも明るい兆しはみえる。だが、厳しい状況にあるのは変わりない。大きな問題は賞金の減額だ。英、アイルランドのG1ではおおむね19年の半分程度に縮小した。特に英ダービーは減少幅が大きく、総賞金は50万ポンド(約6700万円)と19年の3分の1ほどとなった。フランスでも賞金は減少している。

主催者が馬券を売り、その売り上げから賞金が出されている日本とは違い、海外では馬券の発売者と主催者が異なるケースが多い。

例えば、英国では賭け屋であるブックメーカーが馬券を売る。その売り上げの一部から支払われる賦課金、競馬場とレースのスポンサーが出す資金、馬主が支払うレースへの登録料が賞金の原資となる。無観客が続けば、競馬場の入場料収入が減るほか、来場者向けにアピールできないスポンサーからの収入も減少する。感染拡大による街中のブックメーカーの閉店も馬券の売り上げに響く。こうした様々な要因から賞金を削減せざるを得なくなっている。賞金減額が競馬関係者の体力をそぐのは確実。ひいては競走馬の資質低下など長期的な影響も懸念される。

(関根慶太郎)

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