英、飲食業などで消費減税 財政影響にも目配り

2020/7/9 0:21 (2020/7/9 17:40更新)
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【ロンドン=中島裕介】英政府は8日、追加の経済対策として飲食、宿泊、娯楽の業界を対象に、日本の消費税にあたる「付加価値税」の税率を現行の20%から5%へ引き下げると発表した。新型コロナウイルスの打撃が大きい業界を支える。休業者の給与補助は予定通り10月に終了し、膨らむ財政負担にも目配りする。

スナク英財務相は「失業を避けるためには何でもやる」と公言する=AP

付加価値税の引き下げはレストランやパブ、ホテル、劇場などが対象となる。15日に開始し、2021年1月12日までの時限措置とする。41億ポンド(約5500億円)の減税規模となる見込みだ。英国が新型コロナの感染拡大以降で付加価値税を引き下げるのは初めて。

飲食店への支援策では8月の月、火、水曜日に限り、外食時の料金を最大半額とするユニークな助成制度も設ける。

追加経済対策は全体で300億ポンドに及ぶ。都市封鎖により発生した休業者を職場に戻し、英経済を自律的な成長路線に戻すのが狙いだ。

英国家統計局によると、都市封鎖の影響で飲食・宿泊業の4月の生産高はコロナ前から92%減少。娯楽業でも47%減るなど甚大な影響が出た。

こうした業種では休業者も多い。今回減税対象となる職場では累計で170万人もの労働者が一時帰休を余儀なくされた。個人消費を重点的に喚起することで雇用維持につなげる。

社会保障の安全網も充実させる。生活保護にあたる「ユニバーサルクレジット」を受給する16~24歳の若者を雇った企業には6カ月間、最低賃金分の給与を政府が肩代わりする。立場が不安定な若年層に対象を絞りつつ、失業の長期化を防ぐ狙いだ。

一方、スナク財務相は8日、政府が3月から続けてきた全業種の休業者の給与の8割を肩代わりする対策を期限通り10月末に終わらせる方針も示した。10月末の失業急増を防ぐため、休業者を解雇せずに21年1月まで雇い続ける企業には1人あたり1000ポンドを支払う激変緩和措置も設けた。

失業者の給与肩代わりは、労働環境の悪化食い止めに一役買い、足元の失業率は3.9%にとどまっている。だが、財政への負担は大きいためスナク財務相は「こうした対策は永遠に続けることはできない」とし「中期的には持続可能な財政の軌道に戻す必要がある」と強調した。

20年度の英財政はコロナ対策による歳出の膨張と税収減で赤字が3000億ポンド(約40兆円)に達するとの試算もある。累積債務の国内総生産(GDP)比も1960年代初頭以来、初めて100%を超えるのが確実だ。

英政府はメリハリを付けた今回の追加経済対策がどの程度失業を抑えるか見極めたうえで、さらなる対策が必要か検討する方針だ。

付加価値税を巡っては、他の欧州諸国でも引き下げる動きが相次ぐ。

ドイツは1日から半年間限定で税率を3ポイント引き下げ16%とした。食料品向けの軽減税率も7%から5%に改めた。ノルウェーは公共交通機関の運賃や宿泊料金などに限り、税率を引き下げている。各国とも財政とのバランスを図りながら消費喚起策を打ち出している。

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