韓国の対北融和にクギ 米高官が訪韓 「緊密に協力」

2020/7/8 22:20
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【ソウル=恩地洋介、ワシントン=永沢毅】ビーガン米国務副長官は8日、訪問先のソウルで康京和(カン・ギョンファ)外相や李度勲(イ・ドフン)朝鮮半島平和交渉本部長ら韓国外務省の高官と相次ぎ会談した。緊張を高める北朝鮮との対話継続に努める方針を確認する一方、韓国側に足並みを乱さないようクギを刺したとみられる。

ビーガン米国務副長官(左)と韓国外務省の李度勲朝鮮半島平和交渉本部長(8日、ソウル)=共同

北朝鮮担当特別代表を兼ねるビーガン氏は、米朝交渉の実務を担う責任者だ。会談後、ビーガン氏は記者団に「朝鮮半島の平和を巡り議論した。韓国との緊密な協力を通じ、北朝鮮問題の進展を引き出す」と語った。

訪韓の目的は、南北対話にはやる文在寅(ムン・ジェイン)政権に米政府の立場を伝えるためだったもようだ。ビーガン氏は南北協力を巡り「韓国政府の努力を強く支持する」と語ったが、米政府内には韓国の前のめり姿勢に警戒感がある。南北協力が対北朝鮮制裁の風穴となり得るからだ。

北朝鮮は6月に開城(ケソン)の南北共同連絡事務所を爆破するなど南北間の緊張を高めた。文大統領は米朝対話の仲介に意欲を示し、外交安保の司令塔も刷新した。

だが米国側は北朝鮮との対話をそれほど急いでいない。11月に大統領選を控え、短期的に打開が困難な米朝交渉に力を割く余裕は乏しい。北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射などに踏み切らない限り、現状維持が得策だとみている。

北朝鮮は4日に崔善姫(チェ・ソンヒ)第1外務次官が談話で「米国と向かい合う必要はない」と対話を拒んだ。ビーガン氏は崔氏の発言を巡り「北朝鮮側に会談は要請しなかった」と記者団に説明。崔氏を「古い考えにとらわれている」と批判した。対話の実現には、金正恩(キム・ジョンウン)委員長が交渉担当者を任命する必要があるとの認識も示した。

文政権の外交安保政策の司令塔である国家安保室長は最近、米韓同盟を重視した鄭義溶(チョン・ウィヨン)氏から国家情報院長だった徐薫(ソ・フン)氏へと代わった。政策が南北融和へと傾けば、米韓の不協和音が広がりかねない。

趙世暎(チョ・セヨン)第1次官との会談では、米韓同盟に関わる問題が議題となった。在韓米軍の駐留経費交渉は、負担割合を定める協定が2019年末に期限切れとなっており、早期妥結をめざす方針を確認した。

文政権が今後、日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を再び試みる可能性もある。19年は米国が韓国に圧力をかけ、日本への協定終了通告を中断させた。

ビーガン氏は7日に韓国に到着した後、新型コロナウイルスの検査で陰性判定を受けてから一連の会談に臨んだ。9日には国家安保室長の徐薫氏らと会談した後、次の訪問地の日本に向かう。

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