粗鋼生産27%減、7~9月期見通し 2千万トン割れ

2020/7/8 18:17
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経済産業省は8日、7~9月期の粗鋼生産量が前年同期比27.9%減の1770万トンになるとの見通しを発表した。4~6月期(1829万トン)に続き、2期連続での2千万トン割れとなる見込みだ。新型コロナウイルスの感染拡大で鉄鋼大手は高炉の一時休止に踏み切っているが、稼働再開の見通しは立っておらず厳しい状況は続く。

日鉄などは一時休止する高炉の稼働再開のめどが立っていない(和歌山市の関西製鉄所和歌山地区)

四半期ベースの粗鋼生産量が1700万トン台まで落ち込むのは、リーマン・ショックの影響が直撃した2009年1~3月期(1760万トン)以来となる。リーマン・ショック後も需要が急減し、鉄鋼各社が相次ぎ高炉を一時休止した。当時と同様に足元の粗鋼生産の状況は苦しい。

20年7~9月期の鋼材需要は、1728万トンと前年同期比で24.3%減少する見通しだ。普通鋼鋼材の部門別では老朽インフラ設備の更新投資などに支えられる土木部門を除き、全部門で需要は前年同期を下回る見通しだ。建設部門全体では、土木部門が堅調なものの、住宅需要の低迷などにより建築部門が不振なため、需要が減少する見込み。

依然として製造業の需要は対前年で低水準にとどまる。産業機械は33.1%減、造船は26.8%減、自動車は23.8%減と苦しい。国内の自動車メーカーの生産活動は段階的に回復しつつあるが、「前年に比べると低い水準で予断を許さない状況だ」と、経済産業省金属課の蓮井智哉課長は話した。

輸出は同28.6%減の530万トンの見通しだ。蓮井課長は「世界的にコロナの感染は広がっており、先行きが不透明だ」と見解を述べた。4月以降、コロナの影響拡大に伴う需要の急減を受け、鉄鋼各社は高炉の一時休止を相次ぎ決めた。

日鉄は4月に東日本製鉄所鹿島地区(茨城県鹿嶋市)などで計2基、5月には同製鉄所君津地区(千葉県君津市)でも1基を一時休止。JFEスチールも6月末までに、西日本製鉄所の福山地区(広島県福山市)などで計2基の高炉を一時休止している。

7月以降も日鉄は室蘭製鉄所(北海道室蘭市)などで計2基の一時休止を予定するが、現時点で稼働を再開するめどは立っていない。業界では「約1億トンで推移してきた国内の粗鋼生産量は、20年度に8千万トンを下回るだろう」(日本鉄鋼連盟の橋本英二会長)との見方も出ている。

足元では新興国を中心にコロナの影響は拡大しており、国内も首都圏で感染者数が増えている。経産省金属課の蓮井課長は「7~9月期が底になるかは今は判断できない。コロナの収束のめどを注視していきたい」と述べるにとどめた。

(湯前宗太郎)

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