米政権、強める対中警戒 対抗措置連発 大統領選にらむ

米中衝突
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2020/7/8 19:44
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【ワシントン=永沢毅】トランプ米政権が中国への強硬策を矢継ぎ早に打ち出した。米政権内で一段と高まる中国の強権主義に対する警戒の底流には、異例のスピードで施行された香港国家安全維持法への懸念など3つの要因が絡み合う。米中対立の先鋭化は避けられない。

ポンペオ米国務長官はトランプ政権で対中強硬策をけん引する=ロイター

6、7両日だけで米政権が明かした中国への対抗措置や声明は6つを数える。異例の多さだ。内容も(1)中国チベット自治区への米国人の入境を妨害した中国当局者へのビザ(査証)制限(2)「TikTok(ティックトック)」など中国製アプリの米国内での使用禁止の検討(3)レイ米連邦捜査局(FBI)長官が中国のスパイ活動を警告――など多岐にわたる。

世界保健機関(WHO)脱退の正式通告も、発端は新型コロナウイルスなどを巡る対応が「中国寄り」と批判してきたことにある。これらとは別に、6日に発表した外国人への留学ビザ発給の停止は中国を狙い撃ちにしないが、国別で最大の36万人という中国人留学生に多大な影響を与える。

米政府関係者の話を総合すると、このタイミングで「中国たたき」の動きが活発になった背景には3つの要因がある。

1つ目は中国が香港国家安全法を6月30日に施行したことだ。5月下旬に制定の動きが明らかになってから、中国は1カ月あまりで施行を実現した。「想定された最速のタイミング」(米政府関係者)だった。米政権内では中国の強権主義がかつてなく強まっている証左だと受け止められた。

2つ目は、6月17日にハワイで開かれたポンペオ米国務長官と中国外交担当トップの楊潔篪(ヤン・ジエチー)中国共産党政治局員による高官協議が事実上「破綻」したことだ。米政府関係者によれば、ポンペオ氏は香港や台湾、南シナ海の問題、中国による米国人記者の追放、新型コロナ対応など様々な面で中国の姿勢を改めて批判した。

そのうえで中国側が数週間以内に対応を示さなければ、米国側も必要な措置をとる方針を突きつけたとされる。楊氏も香港や台湾への「内政干渉」をやめるよう米側に主張しただけで、議論はかみ合わなかった。会談から3週間ほどが過ぎ、米国はしびれを切らした。

3つ目が投開票日まで4カ月を切った米大統領選だ。「恐ろしい中国ウイルスだ。こんなことが起こってはならなかった」。トランプ大統領は7日、ホワイトハウスで、新型コロナの発生源が中国だと断じて批判した。

大統領選の相手になる民主党のバイデン前副大統領に支持率で水をあけられ、トランプ氏は焦る。政権内にあったWHO脱退への慎重論を押し切ったのは、コロナ対応で失策を招いたとの批判をかわしたい思いが強い。

中国との覇権争いを意識し、民主主義や人権など米国が重視する原則論を展開するポンペオ氏と異なり、トランプ氏の対中批判は選挙目当ての思惑が色濃い。11月の大統領選までは米中対立が収束する気配はない。

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