よだれ鶏・シュクメルリ 世界の鶏料理をいいとこ取り

今年の夏はコロナ禍で海外旅行には行きづらいのでは。世界の料理を自宅で作って海外気分を味わえば、家族の会話も弾みそう。多くの国で親しまれている鶏肉を使った料理を、専門家11人が選んだ。
1位 よだれ鶏(中国)
夏バテでも取り入れやすく
材料(2人分)
鶏むね肉200g 料理酒大さじ1 砂糖小さじ1 長ネギ1/4 A〔しょうゆ大さじ1 酢大さじ1 砂糖大さじ1 ラー油大さじ1 すりおろしニンニク小さじ1〕 大葉2枚
(1)鶏肉は皮を取り除く。長ネギはみじん切りに。
(2)鶏肉にフォークで数カ所穴を開けボウルに入れる。料理酒と砂糖を加えてなじませる。
(3)耐熱ボウルに入れラップをかけ600Wの電子レンジで3分加熱。鶏肉を裏返し再度ラップをして600Wの電子レンジで3分、中に火が通るまで加熱。粗熱を取り薄めに切る。
(4)ボウルに長ネギとAを入れ混ぜる。
(5)皿に大葉と(3)を盛り付け(4)をかける。
「よだれが出るほどおいしい」が語源の、中国・四川地方の定番料理。「夏バテしているときでも食べやすい」(今泉マユ子さん)、「鶏肉もタレも、作り置きにも適している」(武蔵裕子さん)。辛いものが苦手なら、ごま油で代用してもよい。「電子レンジ調理のレシピは火を使いたくない日にぴったり」(とけいじ千絵さん)
(1)料理時間 20分(2)材料費の目安 300円
2位 シュクメルリ(ジョージア)
ニンニクで疲れ吹き飛ぶ

鶏もも肉1枚(300g) 水50ml 白ワイン50ml 生クリーム70ml A〔すりおろしニンニク大さじ1.5 コンソメ顆粒小さじ2 パプリカパウダー小さじ1/4 塩ひとつまみ〕 有塩バター20g フランスパン4切れ パセリ(生)適量
(1)パセリはみじん切り、鶏肉は一口大に切る。
(2)中火で熱したフライパンにバターを入れ溶かし、(1)の鶏肉を入れ焼き色がついたら水、白ワイン、Aを入れひと煮立ちさせ、鶏肉に火が通るまで10分程度煮込む。
(3)中火のまま生クリームを入れて沸騰直前で火から下ろす。
(4)器に盛りつけパセリを散らし、フランスパンを添える。
牛丼チェーンが期間限定メニューとして発売するなど、日本でも人気になったジョージアの伝統料理だ。「ニンニクをおいしく食べるための料理と言われる」(今泉さん)。パンを添えればいつもと違う食卓に。「家族で国を調べながら作りたい一品」(滝村雅晴さん)、「ピザ用チーズを加えてフォンデュ風な味わい方も」(野口英世さん)
(1)20分(2)500円
3位 三杯鶏(台湾)
さっぱり味 バジルが彩り

手羽先6本 ごま油小さじ2 長ネギの青い部分1本分 ショウガ20g ニンニク2片 鷹の爪1本 A〔しょうゆ40g 紹興酒40g ごま油30g〕 バジル(生)少々
(1)鷹の爪は半分に切り種を取る。ショウガは皮付きのまま薄切りに。ニンニクは包丁の腹でつぶす。
(2)フライパンにごま油小さじ2を入れ、手羽先を両面焼き、焼き色が付いたら火から下ろす。
(3)深めの鍋に(2)を入れ、ショウガ、ニンニク、鷹の爪を加え中火で炒める。全体に油が回ったらA、長ネギの青い部分を入れ中火で10分ほど加熱。
(4)手羽先に火が通り、煮汁が減ってとろみがついたら火から下ろす。器に盛り付けてバジルを載せる。
台湾で人気の料理で、酒、しょうゆ、ごま油、同量の三杯の調味料を使って作る。「台湾や中国でもバジルを使うのは新鮮」(荻野恭子さん)。レシピではさっぱりとした風味に仕上げるため、ごま油を少なくアレンジ。「ピリ辛の味わいは暑い時期、ビールにも合いそう」(脇雅世さん)、「一口大に切った鶏もも肉や豚バラ肉でもおいしくできる」(野口さん)
(1)40分(2)300円
<次ページ:1~3位の動画レシピ>
4位 タンドーリチキン(インド)
フライパンで手軽に

材料(2人分)
鶏もも肉1枚(300g) 有塩バター10g クミン・チリペッパー適宜 A〔ヨーグルト50g ケチャップ大さじ2 カレー粉大さじ1/2 はちみつ小さじ1 チリペッパー小さじ1/2 塩小さじ1/3 おろしニンニク1/2片分 おろしショウガ1/2片分〕
(1)鶏肉は6等分に切り、Aとポリ袋に入れてもみ冷蔵庫で一晩
(2)フライパンにクッキングシートを敷き(1)を皮目から並べ中火で焼いて、焼き色が付いたら裏返して蓋をし、弱めの中火で約5分蒸し焼き
(3)器に盛りバターを載せ、クミンなどをお好みで
円筒型の土窯(タンドール)で焼くインド料理をフライパンで作ろう。「スパイスが効いて夏に頼もしい」(とけいじさん)、「鶏肉は別の部位でも応用がきく」(武蔵さん)
(1)13分(漬け込み時間除く)(2)300円
5位 参鶏湯(サムゲタン、韓国)
夏に欠かせぬ滋養食

材料(2人分)
鶏手羽元4本 米1/2合 塩小さじ1 ニンニク2片 青ネギ(小口切り)適量 粉唐辛子適宜
(1)鶏肉は骨に沿ってハサミで切り開く。
(2)米は洗って炊飯器に入れ、水を3の目盛りまで注ぎ、塩を加えて混ぜる。
(3)(1)とニンニクを加え、おかゆモードで炊く。
(4)器に盛り、ネギを載せ、お好みで粉唐辛子を振る。
本場では高麗人参、ナツメなどを使う滋養食。「夏のスタミナ料理には欠かせない」(コウケンテツさん)、「体調が悪いときに、元気がでそうな一品」(滝村さん)
(1)5分+加熱(おかゆモード)60分(2)300円
6位 海南鶏飯(ハイナンジーフアン、シンガポール)
タレのバリエーション豊富

米1合 鶏もも肉1枚 長ネギ(青い部分)5cm ショウガ(薄切り)2枚 きゅうりの薄切り・ミニトマト・パクチー適量 顆粒鶏がらスープの素小さじ1 お好みのタレ(ショウガしょうゆや市販のスイートチリソースなど)
(1)米を洗い炊飯器に入れ、1合の目盛りより約2mm少なく水を注ぎ、鶏がらスープの素を混ぜる
(2)鶏肉を皮目が下になるように載せ、長ネギとショウガを加えて炊く
(3)炊き上がったら鶏肉を出して切り、ご飯は混ぜる
(4)器に(3)を盛り、お好みのタレと野菜を添える
東南アジアで一般的な米料理。タレ次第で味の変化も楽しめる。「カラフル野菜を盛り付けてもいい」(村上祥子さん)、「子供にはトウモロコシを加えて作ってもいい」(野口さん)
(1)5分+加熱(炊飯モード)40分(2)350円
7位 ガイヤーン(タイ)
食欲そそる 甘辛焼き鳥

鶏もも肉1枚(300g) A〔コチュジャン、ナンプラー、ラー油、みりん各大さじ1/2 しょうゆ、はちみつ、すりおろしニンニク、すりおろしショウガ各小さじ1/2 ごま油、砂糖各大さじ1/4〕 パクチー適量
(1)鶏肉は脂と筋を取り除き、皮面に数カ所穴を開ける
(2)ボウルに漬けたれの調味料Aを混ぜ、(1)を入れて1時間以上漬ける
(3)オーブンは200℃に予熱
(4)オーブンの天板にアルミホイルを敷き、鶏肉を皮目を上にして30分焼く
(5)(4)を食べやすい大きさに切り器に盛り付け、お好みでパクチーを
タイの焼き鳥で、本場では餅米のご飯を一緒に食べる。暑くて料理をしたくない日にぴったり。「むね肉なら厚さが均等になるよう包丁で開くと火が通りやすい」(荻野菜々子さん)
(1)40分(漬け込み時間除く)(2)300円
8位 フライドチキン(米国)
手羽元使うとお店風

鶏もも肉1枚(300g) A〔卵1個 薄力粉大さじ2 牛乳大さじ2 ハーブソルト小さじ1 すりおろしニンニク小さじ1〕 B〔薄力粉60g オールスパイス小さじ1 黒コショウ小さじ1〕 揚げ油適量 飾り〔ルッコラ(4cm幅に切る)10g ミニトマト(4等分)5個 黄パプリカ(薄切り)1/8個分〕
(1)鶏肉は余分な皮と脂を除き4等分
(2)ボウルに(1)を入れて混ぜ、Aを入れ冷蔵庫で約10分
(3)別のボウルにBを入れて混ぜ(2)を入れてまぶす
(4)揚げ油を鍋底から約5cm注ぎ、180℃に熱し(3)を揚げる。きつね色になり火が通るまで約8分揚げたら油を切る
オールスパイスを使うと、日本の唐揚げとは違う風味に。「年齢を問わず好まれる」(荻野恭子さん)。手羽元で作ればお店風にも。「鶏は常温に戻しておくと火が通りやすい」(滝村さん)
(1)30分(2)500円
8位 チーズタッカルビ(韓国)
相性抜群の組み合わせ

鶏もも肉1枚(300g) 塩・コショウ各少々 さつまいも、ニンジン各1/2本 タマネギ1/2個 キャベツ1/8個 ピーマン2個 切り餅2枚 ごま油大さじ1 ピザ用チーズ60g A〔コチュジャン、酒各大さじ2 しょうゆ、砂糖、白すりごま各大さじ1 カレー粉小さじ2/3 おろしニンニク1/2片分〕
(1)ひと口大の鶏肉に塩・コショウ
(2)さつまいもは5mm幅の半月切り、タマネギはくし形、ニンジン短冊切り、キャベツざく切り、ピーマン乱切り。切り餅は縦3等分
(3)フライパンにごま油を入れ中火で(1)を焼く
(4)焼き色がつけば野菜、餅と載せ蓋をして中火で3~4分蒸す
(5)Aを加えて炒め蓋をして3~4分蒸し焼き。火が通ればチーズを
ピリ辛の鶏肉とチーズの相性が抜群。野菜も多く、さつまいもを入れることで「子供からお年寄りまで楽しめる」(武蔵さん)
(1)20分(2)450円
10位 バターチキンカレー(インド)
定番メニューを電子レンジで

ごはん400g 鶏もも肉200g タマネギ1/2個 カットトマト缶200g 牛乳100ml A〔ケチャップ大さじ1 コンソメ顆粒小さじ1 すりおろしニンニク小さじ1/2〕 B〔有塩バター30g カレールー20g〕 生クリーム20ml ベビーリーフ20g パセリ(乾燥)適量
(1)タマネギはみじん切り、鶏肉は一口大に
(2)耐熱ボウルに(1)、トマト缶、Aを入れて混ぜ、ラップをかけて600Wの電子レンジで7分加熱
(3)Bを入れ、カレールーが溶けるまで混ぜたら牛乳を入れ、ラップをかけ600Wで5分加熱
(4)器によそい生クリームをかけ、パセリを振ったご飯とベビーリーフを添えたお皿に
「夏はやっぱりカレー」(コウさん)という声が多かった。「電子レンジでできるから定番メニューになりそう」(中川恵子さん)
(1)20分(2)600円
多様な部位・調理、よりどりみどり
鶏肉料理は宗教などの制約が少なく、世界の多くの国で高級店から一般家庭まで幅広く親しまれている。脂肪が少なく味は淡泊なため、焼く、煮る、揚げるなど調理法や味付けに応用が効きやすい。うまみが強い「もも」、高たんぱく質の「むね」、脂肪のバランスがよく皮もおいしい手羽、ハツ(心臓)、ハラミ(腹膜)、軟骨、レバー(肝臓)、砂肝(胃の一部)など、ほぼすべての部位が食べられる。
日本では明治時代から鶏肉を食べるようになり、広く普及したのはブロイラーが一般的になった戦後。今では唐揚げや焼き鳥、親子丼など、食事や酒の肴(さかな)に欠かせない存在となっている。
手軽な食材だが、豚肉や牛肉に比べて水分が多く傷みやすいため扱いには注意も必要だ。「肉にハリがあり、ドリップ(うまみ成分である赤い汁)が出ていないものを選ぶこと」と料理研究家の島本美由紀さんはアドバイスする。買った翌日に使う場合は酒を少量振っておくと傷みにくくなるという。「冷凍する場合は1%の塩を振ってから冷凍用保存袋に入れて」(島本さん)。少しの工夫でおいしさを保てる。鶏肉料理を極めて、熱い夏を乗り切りたい。
ランキングの見方
調査の方法
今週の専門家
(生活情報部 砂山絵理子)
[NIKKEIプラス1 2020年7月11日付]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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