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感染症から工場を守る 7つの先端テクノロジー

紫外線を照射して消毒するロボットなど様々な感染防止機器・サービスが世界中で登場している(写真はシンガポール・PBAグループの製品)=ロイター
CBINSIGHTS
新型コロナウイルス問題は、最新設備に囲まれた現代社会であっても感染症には無防備な現実を突きつけた。生産停止に追い込まれた工場ではようやく再開の動きが始まったが、新たなウイルスや細菌を含めてこれから感染症をどう防いでいくか、経営者にとって大きな課題になっている。非接触の出社登録やロボットによる消毒など、世界のスタートアップが開発・提供する7つの先端テクノロジーを紹介する。
日本経済新聞社は、スタートアップ企業やそれに投資するベンチャーキャピタルなどの動向を調査・分析する米CBインサイツ(ニューヨーク)と業務提携しています。同社の発行するスタートアップ企業やテクノロジーに関するリポートを日本語に翻訳し、日経電子版に週2回掲載しています。

工場の稼働再開に伴い、経営者は新型コロナウイルスなどの感染性ウイルスから作業員を守る方法を求めている。適切な予防策を講じなければ、生産施設や加工施設は感染リスクの高いエリアになってしまう。米豚肉加工大手スミスフィールド・フーズのサウスダコタ州の食肉処理工場は4月、新型コロナのホットスポットとして一躍有名になった。

メーカー各社は工場の再開に伴い、安全な職場を提供する必要性に迫られている。現時点では、米フォード・モーターや工業製品・事務用品の米スリーエム(3M)などがマスクや手袋といった個人防護具(PPE)の着用、こまめな清掃、ソーシャルディスタンス(対人距離)の確保を義務づけている。

顔認証や自律型ロボット、空間認識センサーなどのテクノロジーは手で触れる場所を減らし、清掃を自動化してくれるため、従業員を守る効果をさらに高められる。今回のリポートでは、非接触式のID確認システムから消毒ロボット、音声で作動する機械に至るまで、工場現場の最新の様子について取り上げる。

1、非接触式の従業員チェックイン

経営者はIDをリーダーにタッチして出勤時間を記録する代わりに、非接触式のチェックインシステムを導入してもよいだろう。米オロイド(Oloid)や仏アイデミア(Idemia)は主に従業員の顔や指紋をスキャンする生体認証を活用し、従業員を確認するシステムを提供する。アイデミアの指紋スキャナー「モーフォウェーブ(MorphoWave)」のように非接触式のIDスキャンシステムもある。

2、工場に入る前に消毒

従業員は職場に到着すると手を洗ったり手指を消毒したりする。一方、IDや携帯電話、スキャナーなどの所持品や仕事道具は消毒装置に入れる。

米UVエンジェル(UV Angel)、米バイオガード(Vioguard)、米ピュアライト(Purelight)などのスタートアップが手掛けるこうした装置は、中に入れたアイテムを60秒ほどで素早く消毒してくれるため、すぐに仕事に取り掛かることができる。

3、多くの人が触るボタンやハンドル、パネルを抗菌コーティング

作業員は共有の機械やコントロールパネル、工具に触る。これらの表面をいちいち消毒するのは手間も時間もかかる。こうした多くの人が触る面の細菌を減らすには、抗菌材によるコーティングを活用すればよい。

独ムンディテック(Munditech)、米ナノセプティック(NanoSeptic)、独ダイフォックス(Dyphox)などのスタートアップは工場の様々な環境に対応した塗料を生産している。

4、センサーや映像解析でソーシャルディスタンスを確保

作業員の多い工場では、テクノロジーを活用して6フィート(約1.8メートル)の距離を確保する解決策が登場している。米バージセンス(VergeSense)やカナダのアイルラブズ(Aislelabs)、米デンシティ(Density)などのスタートアップはWi-FiやIoTセンサーを通じてリアルタイムで人の数を数えるソフトウエアシステムを提供している。経営者はこの占有率データを使って労働時間や施設の占有率を算出し、調整することができる。

エジプトのアビッドビーム(AvidBeam)や米ディープノース(Deep North)、独スカイラ(Scylla)などは映像解析により同様のデータを提供している。身体の熱をスキャンしたり、熱が高い人を検知したりするソフトウエアを手掛けるスタートアップもある。作業員が特に多い工場では、英パスファインダー(Pathfinder)の「アセット・ビーコン(Asset Beacon)」が有効だ。これは簡単に取り付けられる機器で、機器を持つ別の人が6フィート以内に近づくと短いアラームが鳴る。

5、音声アシスタント

音声アシスタントを使えば、作業員が機械の操作や在庫の確認、作業指示の作成のためにコントロールパネルにタッチする必要性を減らせる。米ダッチ(Datch)やオーストリアのタブレット・ソリューションズ(Tablet Solutios)は産業用の音声アシスタントを手掛けている。

6、常時空気清浄

工場の気流と室温は常に変化しており、細菌をばらまいている可能性がある。空気清浄システムを使えば空気中のウイルスの懸念を軽減できる。米モレキュール(Molekule)、米エアフィックス(airPHX)、独アルド(Aludo)は工場に設置して常に空気を殺菌できるユニットを提供している。

7、終業後やシフト交代の間に消毒してくれる自律型ロボット

自律型ロボットは大型施設を消毒し、清掃スタッフが感染スペースにさらされる機会を減らす。デンマークのUVDロボッツ(UVD Robots)や米ゼネックス(Xenex)は紫外線C波(UV-C)で部屋全体を殺菌する自律型ロボットを生産している。カナダのアビドボッツ(Avidbots)や独アドラタス・ロボティクス(Adlatus Robotics)などによる殺菌剤を使って表面を清掃するロボットを導入してもよいだろう。

特定のタイプの部屋を清掃するように設計されているロボットもある。例えば、米有力アクセラレーターのYコンビネーターで研修を受けた米ソマティック(Somatic)は、トイレ掃除ロボットを開発・提供している。

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