米、留学生ビザを制限 オンライン授業のみなら発給せず

2020/7/8 5:25 (2020/7/8 7:19更新)
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外国人留学生へのビザ発給が一段と厳しくなる(米ハーバード大)=AP

外国人留学生へのビザ発給が一段と厳しくなる(米ハーバード大)=AP


【ニューヨーク=河内真帆、伴百江】米政府が外国人へのビザ発給を一段と厳しくする。米移民税関捜査局(ICE)は、すべての授業がオンラインの場合、留学生にビザを発給しないと表明した。米国には100万人を超える学生が留学しており、日本からの留学生も含め影響が出そうだ。

米国土安全保障省の傘下にあるICEは6日、9月以降の新学期に向けビザ発給の規則変更を発表した。米国では新型コロナウイルスがまん延するなか、ハーバード大がオンライン授業に完全移行すると表明するなど、多くの大学でオンライン化が進んでいる。

■留学中の学生も対象

ICEは米国の大学や高校に留学する場合は、学校側から対面式の授業を行っているとの証明書を受け取り提出することを義務付ける。対象は新規のビザ発給だけでなく、条件を満たせない場合はすでに在籍する学生にも帰国するか転校するか求める。

トランプ米政権は教育機関に対し、秋に授業を再開するよう求めている。米国では、大学の収入源である留学生へのビザ発給要件を厳しくすることで、教育機関への圧力を強める狙いがあるとの見方が広がっている。トランプ氏はツイッターで「学校は秋に開くべきだ」と述べ、ICEの方針を支持した。

■内向き志向、米国内からも反発

米国は内向き志向を強めている。6月には専門知識を持つ技術者らを対象とする「H1B」など複数の就労ビザの発給を年内は止めると発表した。国内では高度な専門知識を持つ人材の入国を妨げれば、将来の競争力を損なうとの批判も強い。

コロンビア大学のリー・ボリンジャー学長は「留学生や研究者、教職員すべてが被害を受ける」と反発。ニューヨーク市のデブラシオ市長もツイッターで「この決定は、ワクチンを発明するかもしれない医学博士や新しいリーダになれる人間に教育を与えないことを意味する」と述べた。

■大学は対抗策、「ハイブリッド型」も

今回のICEの決定による留学生への影響は大きい。国際教育協会によると2018~19年にかけ米国の大学に留学した学生は109万人超と、全米の大学生数の5.5%にあたる。約37万人の中国を筆頭にアジアからの学生が全体の7割超を占める。日本からも1万8000人が留学しており、8番目に多い。

大学にとっても打撃だ。留学生は奨学金や割引など地元住民への特典が得にくいため、一般的に支払う授業料は米国人より多い。例えばカリフォルニア州では留学生の年間の授業料は平均4万2000ドル(約451万円)と、米国人の3倍以上という。米商務省によると18年に留学生は447億ドルの経済効果を米国にもたらした。

大学側は対策を練る。カリフォルニア州立大学バークレー校は留学生のために対面型の特別講座を開く見通しだ。他の大学でも、大人数が受講する一般教養はオンライン、少人数のセミナーは対面式といった「ハイブリッド型」が広がる可能性がある。

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