5月の米採用、過去最高の約650万件に急増
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【ワシントン=長沼亜紀】米労働省が7日発表した5月の雇用動態調査(JOLTS)によると、非農業部門の採用件数(季節調整済み、速報値)は、648万7000件で前月から244万件増えた。2000年12月の統計開始以来の最高水準で、増加幅も最大となった。新型コロナウイルス感染拡大で急減した採用が、5月の経済再開を受けて急速に上向いたことを示した。

採用増が目立ったのは、新型コロナで大きく落ち込んでいた宿泊・飲食業や、医療ケア産業、建設業など。外出規制などで活動を休止していた企業が一時解雇者などを呼び戻した。採用率は4.9%で前月から1.8ポイント上昇した。

求人数も539万7000件で40万1000件増えた。4カ月ぶりの増加で、労働需要の回復を示した。求人が大きく増えた業種は、宿泊・飲食サービス、小売業、建設業だった。求人率は3.9%で0.2ポイント上昇した。地域別では、経済再開を先行して進めた米南部で求人が大きく増えた。
一方、解雇者数は、過去最高となった3月(1148万9000人)から2カ月連続で大きく減り、5月は179万6000人となった。解雇率は前月から4.5ポイント低下の1.4%となり、コロナ危機前の2月の1.2%に近づいた。
労働省が別途、2日に発表した雇用統計によると、6月の非農業部門の就業者数は480万増え、失業率も11.1%と2カ月連続で低下した。しかし6月下旬以降、南部と西部でコロナ感染者数が急増し、再び経済活動が減速する兆しがあり、労働市場への影響が懸念されている。