サムスン、スマホ首位暗雲 出荷台数4~6月3割減

アジアBiz
2020/7/7 22:30
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サムスンのスマホ販売はコロナの影響を大きく受けた(ソウル市内の店舗)

サムスンのスマホ販売はコロナの影響を大きく受けた(ソウル市内の店舗)

【ソウル=細川幸太郎、広州=川上尚志】サムスン電子が4~6月期のスマートフォン世界シェアで、中国の華為技術(ファーウェイ)に首位を明け渡す可能性が高まった。新型コロナウイルスの感染拡大で同期間の出荷台数が前年同期比で約3割減ったもようで、微減のファーウェイと明暗を分けた。スマホの販売不振は業績全体に響くが、コロナの収束以外に復活の糸口は見えない。

サムスンが7日発表した4~6月期の連結決算速報値は、営業利益が8兆1千億ウォン(約7300億円)と前年同期に比べて23%増えた。売上高は同7%減の52兆ウォンだった。新型コロナの影響でテレビ会議や遠隔授業といったオンライン需要が伸び、半導体メモリーの価格が上昇。投資家の事前予想を超える増益幅となった。

サムスンにとっては手放しで喜べる状況にはない。スマホの出荷台数が過去最大の落ち込みになったためだ。

サムスンは公表していないが、複数の調査会社によると、4~5月のサムスンのスマホ出荷台数は前年同期比で約4割減の3千万台程度。6月は欧米で経済再開の動きが広がったが、4~5月の減少分を補えなかった。

韓国SK証券の試算では、4~6月期のファーウェイの出荷台数は5500万台。対してサムスンは5100万台にとどまり、同期間はファーウェイが初めて首位に立ったもようだ。

これまでスマホ世界首位の座は、サムスンと米アップルが競ってきた。新型iPhoneの発売効果でクリスマス商戦がある10~12月期にアップルが首位となることはあったが、サムスンがすぐに奪還してきた。

強みは販売地域のバランスに加え、1年に10機種以上の新製品を出すなど幅広い客層を取り込んできたことにある。20万円の折り畳みスマホなど高性能機種をそろえて先進国で稼ぐとともに、新興国向けに1台2万円を切るモデルも用意し、ここ数年は年間3億台の出荷台数を維持してきた。

今回はサムスンの弱点でもある世界最大市場の中国が命運を握った。サムスンの中国でのシェアは1%未満にとどまるが、ファーウェイは中国が全体の6割に上る。同国が欧米よりも早期に経済再開に踏み切ったことで、両社の差が生まれた。

シェア争いに敗れたことより大きな構造問題も潜む。スマホ端末は売上高全体の4割超を占めるが、その部品の主要調達先は自社の半導体、ディスプレー部門でもある。アップル向けの有機ELパネル販売は今後も拡大する見通しだが、自社のスマホが売れなければ、売上高20兆円を超える巨大企業全体の収益が大幅に縮みかねない。

サムスンは起爆剤と位置付ける利幅の大きい旗艦モデル「ギャラクシーノート」の発売を8月に控える。その売れ行きは、経済再開の是非を決めるコロナの感染動向にかかっている。

一方、初の世界首位となったとみられるファーウェイも、盤石とは言いがたい。なかでも海外での同社に対する風当たりは強まるばかりだ。

特に米政府による規制で、米グーグルのアプリを使えなくなった影響が大きい。ファーウェイは独自アプリを充実させて消費者に訴えるが、既にグーグルのアプリを使い慣れた顧客がサムスンなど他社スマホに流出しているのが現状だ。

また中国に次ぐ巨大市場であるインドでは、国境紛争のあおりを受けて中国製品のボイコット運動が広がる。同市場首位の小米(シャオミ)やファーウェイが販売低迷に陥り、2位のサムスンが「漁夫の利」を得る構図となっている。このため、ファーウェイのトップは4~6月期だけの「四半期天下」に終わる可能性もある。

米調査会社IDCの6月時点の試算では、20年の世界のスマホ出荷台数は前年比12%減と過去最大の落ち込みとなる見通し。サムスン、ファーウェイを含めた主要企業すべてが前年比でマイナス成長となる可能性が高く、勝者なきシェア競争に終わりはみえない。

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