ユーロ圏成長率を下方修正 20年マイナス8.7%に 欧州委

2020/7/7 19:50
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【ブリュッセル=竹内康雄】欧州連合(EU)の欧州委員会は7日、経済見通しを発表した。ユーロ圏の実質成長率を2020年は前年比マイナス8.7%、21年は6.1%のプラスに転じると予測し、5月時点からぞれぞれ下方修正した。新型コロナウイルスの打撃が大きいスペインなど南欧の落ち込みが深刻だ。

新型コロナウイルスで欧州の観光産業は大きな打撃を受けた(6月、ローマ)=ロイター

予測通りならば、20年のユーロ圏の縮小幅は比較可能な1996年以来で最大となる。前回のマイナス成長は2013年のマイナス0.2%。

欧州委は5月時点で20年を7.7%減、21年は6.3%増と予測していた。主要国の20年の成長率をみると、域内最大の経済規模を持つドイツは5月時点の6.5%から6.3%にマイナス幅が縮小。一方、フランスやイタリア、スペインはマイナス幅が拡大した。いずれも2桁のマイナス成長になる見通しだ。

仏伊などは新型コロナの被害が他地域に比べて大きく、多くの死者を出した。その結果、外出制限や営業規制などの期間もドイツよりも長く、経済活動が停滞。南欧諸国の回復の遅れがユーロ圏全体の足を引っ張った。移動などの制限措置は緩和されつつあるが、そのペースは欧州委の予想より遅かった。

ジェンティローニ欧州委員(経済政策担当)は記者会見で「我々は共通のショックに見舞われたが、(回復などの)状況が国によって違うのがリスクだ」と述べた。迅速な景気回復に向けて、EU各国が議論している「復興基金」の早急な合意が欠かせないと訴えた。

一方、欧州委は5月と6月のデータから「最悪の事態が終わった可能性を示唆している」と分析した。IHSマークイットによると、ユーロ圏の総合購買担当者景気指数(PMI)は4月(13.6)を底に6月は48.5と、好不況を判断する節目の50に迫る。夏以降は緩やかな回復軌道にのる見通しだ。オランダのING銀行は4~6月期の成長率が前期比42%(年率換算)減ったのち、7~9月期はプラス47%のV字回復を予測する。

21年は反転するが、20年のマイナス分を取り戻すには至らない。各国政府は今後も国民に「社会的距離」をとり続けるよう求めるなどコロナの感染が増加する前のような経済社会にすぐに戻るのは難しい。米国や南米などでは感染が増え続けており、供給網への影響が続く可能性は高い。足元の失業率の悪化幅は小さいが、政策頼みの面が強く、自律的な景気回復に戻らないと、雇用環境が悪化するリスクがある。

この予測は新型コロナに伴う様々な制限が徐々に緩和されることを前提としており、欧州委は「下方へのリスクが極めて高い」と説明した。感染の「第2波」がきて再び制限措置が導入されるなど状況次第で、一段と数値が下振れする可能性に言及した。

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