「失業給付拡充の延長を」66% FT・米財団世論調査

トランプ政権
2020/7/7 19:00
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【ワシントン=中村亮】英フィナンシャル・タイムズ(FT)と米ピーター・G・ピーターソン財団は6月23~29日、11月の米大統領選に関する世論調査を実施した。トランプ政権が経済減速を受けて講じた失業給付拡充を66%が7月末以降も延長すべきだと答えた。雇用不安が根強いことが浮き彫りになった。

政権と議会は3月にまとめた新型コロナウイルスの感染拡大を受けた経済対策で、失業給付を週600ドル上乗せする措置を講じた。景気の腰折れを防ぐ狙いだが7月末に期限切れを迎える。

政権や与党・共和党には働く意欲をそぐとして延長に慎重な見方がある。延長や上乗せ額の水準が今後の経済対策の焦点になる。一方でトランプ氏が検討する給与減税には78%が賛成した。

手厚い景気対策を求める背景には経済の厳しい見通しがある。63%は米経済の完全回復に1年以上かかると答えた。5月調査より5ポイント上がった。コロナの影響で家計収入が減ったとの回答は63%にのぼる。具体的な家計防衛策としては「旅行計画の中止・変更」が51%と同5ポイント、「大型の買い物の延期」が37%と同4ポイントそれぞれ上昇した。

雇用や個人消費に関する経済指標は好転しつつあるが、米国民の多くは厳しい経済情勢が続くとみているようだ。

米経済への最大の脅威は「世界経済の減速」が32%と最多だった。世界経済の減速が雇用などに悪影響を及ぼす懸念がある。「医療費の上昇」や「中国やメキシコなどとの貿易摩擦」をあげる声はそれぞれ19%と11%にとどまった。

コロナ感染への警戒も強めている。62%がマスクを着用し、57%が公共の場所を避けていると答えた。それぞれ5月より6ポイント、2ポイント高い。マスクの着用について支持政党別にみると、共和党層は56%にとどまり、69%の民主党層を下回った。居住地区のコロナ感染をめぐる状況が今後1カ月間で悪化するとの見方は49%と同14ポイントも増えた。

大型の経済対策で連邦債務が膨れ上がるが、米国民の危機感は高まっていない。「債務が誤った方向にある」との回答は65%と5月に比べ1ポイントの上昇にとどまった。コロナ拡大前の2月に比べても4ポイントのわずかな伸びだ。米国民は政府による経済支援を現時点では必要とみている。

トランプ大統領の経済対策を支持する意見は根強かった。「経済に貢献している」との回答は49%にのぼり、コロナ拡大前の2月(50%)とほぼ同じ水準だ。大統領選の行方を決める激戦州に限ると52%がトランプ氏の経済政策を支持した。5月比で4ポイント上がった。トランプ氏は大型減税や中国との貿易合意を政権の成果として訴えている。

人種問題をめぐり1960年代の公民権運動以降に黒人の機会均等の状況がどれぐらい改善したかを尋ねると、69%が「ある程度改善している」と答えた。一方で白人と比べると、雇用など経済面で黒人に平等な機会が与えられていないとの回答は50%にのぼった。

FTと同財団による世論調査は6月23~29日にインターネットを使って全米で調査し、1000人から有効回答を得た。このうち765人が中西部ミシガン州や東部ペンシルベニア州など11の激戦州の有権者だった。調査は2019年10月に始まった。

主な質問と回答(単位%)
▼トランプ大統領就任後、あなたの経済状態は 全米 激戦州
とても良くなった 15(15) 13(13)
やや良くなった 23(21) 25(23)
変わらない 34(35) 33(30)
やや悪くなった 15(15) 13(17)
とても悪くなった 13(14) 16(17)
▼経済状態が変化した最も重要な理由はどれですか 全米 激戦州
賃金・所得水準 18(18) 18(16)
個人の貯蓄、投資の残高 18(20) 20(19)
雇用形態 12(11) 12(14)
自身や家族の債務 8(6) 8(10)
住宅の価値 4(2) 4(4)
その他 6(7) 6(7)
(経済状態は変わらない) 34(35) 33(30)
▼米国経済にとって最大の脅威はどれだと思いますか 全米 激戦州
世界経済の減速の可能性 32(34) 32(34)
医療費の上昇 19(18) 19(22)
中国やメキシコなどとの貿易戦争 11(11) 13(9)
株価下落の可能性 10(11) 10(12)
自動化で高給の仕事が失われること 6(7) 7(5)
金利水準を含むFRBの政策 4(3) 3(4)
その他 18(16) 15(15)
▼トランプ大統領の経済政策は 全米 激戦州
大きく経済に貢献した 27(27) 28(26)
やや経済に貢献した 22(21) 23(21)
影響はない 9(11) 8(10)
やや経済を悪化させた 18(17) 13(17)
大きく経済を悪化させた  25(24) 27(26)
▼国の債務管理に関し、米国で事態は正しい方向に進んでいますか。それとも誤った方向だと思いますか 全米 激戦州
とても正しい方向 12(15) 11(14)
やや正しい方向 23(21) 23(20)
やや誤った方向 28(26) 28(31)
とても誤った方向 37(38) 38(36)
▼国の債務が米国経済に及ぼす影響で最も大きいのはどれですか 全米 激戦州
社会保障や医療保険を脅かしかねない 25(27) 27(30)
経済成長や将来の家計収入を損ねる 21(21) 17(23)
インフラや教育などの財源を制約する 16(14) 16(13)
経済危機や他の危機への対策で政府の自由度を下げる 12(12) 12(11)
外国の貸し手に依存し米国の世界的影響力が低下する    10(10) 13(9)
米国の経済リーダーシップを損ねる 8(8) 5(6)
金利上昇のリスクを高める 5(5) 6(5)
その他 3(3) 3(3)
▼国の債務を管理するうえで最大の障害はどれだと思いますか 全米 激戦州
政治家の指導力と政治的な意志の欠如 32(28) 28(29)
歳出削減の検討を拒む政治家 24(22) 24(19)
ワシントンでの党派主義 20(19) 22(24)
長期の計画の欠如 13(16) 16(16)
増税の検討を拒む政治家 6(10) 6(8)
その他 5(5) 5(4)
≪特別項目≫
▼新型コロナウイルスの感染拡大は旅行の中止や高額消費の見送りなど個人や企業の決断に影響がありましたか 全米 激戦州
あった 67(66) 68(71)
なかった 33(34) 32(29)
▼新型コロナウイルスへの対応としてあなたがしたことはどれですか 全米 激戦州
マスクを着用した 62(56) 61(59)
公共の場に行くことを避けた 57(55) 57(59)
旅行計画の中止や変更 51(46) 53(52)
高額消費の見送り 37(33) 37(34)
中国関連企業の株式売却など投資変更 6(6) 5(6)
その他 3(2) 3(4)
特になし 33(34) 32(29)
▼米国経済が新型コロナウイルスの感染拡大の影響から完全に回復するにはどのくらいかかると思いますか 全米 激戦州
3カ月以内 5(5) 5(4)
3~6カ月 9(11) 10(13)
6カ月から1年 22(26) 22(26)
1~2年 34(32) 34(33)
2~5年 21(19) 19(17)
5年かそれ以上 9(8) 10(7)
▼今後1カ月、あなたの地域における新型コロナウイルスの感染状況はどうなると思いますか 全米 激戦州
とても良くなる 7(10) 6(9)
やや良くなる 18(29) 14(26)
変わらない 26(26) 28(27)
やや悪くなる 34(24) 36(27)
とても悪くなる 16(11) 16(11)
▼新型コロナウイルスの感染拡大を受けて家族の収入は減りましたか 全米 激戦州
著しく減った 14(17) 15(18)
多少減った 27(25) 28(31)
それほど減っていない 21(20) 20(16)
全く減っていない 37(38) 38(35)
▼経済支援策である「コロナウイルス支援・救済・経済安全保障法(CARES法)」が成立しました。現在の期限である7月31日を超えて特別措置を延長することに賛成ですか、反対ですか 全米 激戦州
とても賛成だ 48 46
やや賛成だ 34 37
やや反対だ 11 12
とても反対だ 6 5
(注)カッコ内は5月の前回調査

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