香港当局に情報提供停止、マイクロソフトも 人権侵害懸念

米中衝突
2020/7/7 17:00 (2020/7/8 7:33更新)
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香港の林鄭月娥・行政長官もフェイスブックを使っている(7日)=AP

香港の林鄭月娥・行政長官もフェイスブックを使っている(7日)=AP

【シリコンバレー=奥平和行、香港=木原雄士】米IT(情報技術)大手による香港当局への利用者情報の提供を一時中止する動きが拡大している。グーグルなどに続きマイクロソフトも取りやめたことが7日、明らかになった。各社は香港国家安全維持法により利用者の監視強化を求められ、人権侵害につながる事態を懸念する。事業活動が制限される可能性が高まっている。

グーグルとフェイスブック、ツイッターの3社は6日までに、香港当局などへの利用者情報の提供を一時的に止めた。マイクロソフトも同様の対応をとったほか、香港メディアによるとビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」の運営会社が情報提供を一時中止した。

背景には反体制活動を禁じる香港国家安全法の施行に伴い、規制が強まるとの懸念がある。香港政府は6日、「国家安全維持委員会」の初会合を開き、捜査令状なしの家宅捜索を認めるなど捜査手続きの詳細を決めた。インターネット上の情報が国家安全に危害を加えると判断すれば、サービス運営企業に削除やアクセス制限を求められる。

米IT各社は表現の自由をはじめとする人権の保護と各国での法令順守のバランス確保に苦心してきた。グーグルは検閲を求める中国当局と折り合えず、2010年から中国本土の検索サービスが使えなくなっている。フェイスブックやツイッターもネット利用者が世界でもっとも多い中国で利用できない。

香港には本土のようなネット規制がなく、当局もフェイスブックなどのSNS(交流サイト)を積極的に活用してきた。若者の間ではネットが自由に使えなくなる懸念が高まり、香港記者協会の楊健興主席は7日の記者会見で「オンラインの言動を監視するもので、報道機関にも大きな影響がある」と話した。

今後、香港と中国本土の一体化が進むと、IT大手の立場は難しくなる。監視強化の求めに応じないとネット接続の強制的な遮断などにより香港での事業活動が難しくなる可能性がある。一方で要求を受け入れると米国で利用者や社員から「人権を侵害している」との反発を招きかねない。

グーグルなどは香港や中国の事業から得る収益が限定的だが、中国圏に基盤を持つ企業への影響はより深刻だ。アップルは昨年、中国共産党が問題視したスマートフォンの地図アプリの提供を中止し、米国などで批判を浴びた。米国がけん引する「自由なネット」と検閲を前提とする中国のネットの溝が深まり、企業が「踏み絵」を迫られる場面が増えている。

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