関東大震災で一部焼失「花下遊楽図屏風」、複製を公開
ぶんかつ、キヤノンが共同で高精細に再現

2020/7/13 2:00
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1923年の関東大震災で一部が焼失した「国宝 花下遊楽図屏風」の高精細複製品が制作された。国立文化財機構文化財活用センター(ぶんかつ)とキヤノンが2018年度から進めている共同研究プロジェクトのひとつとして手掛けられた。

花下遊楽図屏風は、江戸時代の花見の様子を描いた作品で、狩野永徳の末弟で、江戸幕府の御用を務めた狩野長信の手による。右隻には満開の桜の下で酒席を楽しむ婦人たち、左隻には風流踊りをする集団とそれを見つめる人々が描かれている。このうち、婦人が描かれていた右隻中央2扇分は焼失しており、本物ではその部分に無地の紙を補っている。

復元は1911年ごろに撮影されたガラス乾板写真を参考にして行った。高解像度スキャナーを使って画像を複数回読み取り、原寸大の印刷を行えるデータを作成した。色の再現では、現存する部分を参考にし、バランスを調整しながら進めた。ただ、桜の花や地面など現存している画面に同一のモチーフが残っている部分は再現できたが、婦人が着ていた着物の色などは特定できなかった。そのため、複製では一部を白黒のまま残した。

1日、2日には事前予約した人を対象に東京国立博物館で公開した。展示では約5分間、音響による演出のほか、風に散る桜の花びらなどを映像で屏風に投写。複製だからこそできる鑑賞方法をとった。ぶんかつの担当者は「作品保護の理由から本物を展示する機会も限られている。まずは、複製から作品に関心を持っていただける入り口になれば」と話す。現在のところ、今後の公開の予定はないが、地方博物館への貸し出しも含め、機会を探っていくという。

(赤塚佳彦)

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