エンニオ・モリコーネさん逝く 哀愁誘う旋律で映画彩る

文化往来
2020/7/7 15:52
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2004年に初来日し、オーケストラを指揮したモリコーネさん(東京・千代田の東京国際フォーラム)

2004年に初来日し、オーケストラを指揮したモリコーネさん(東京・千代田の東京国際フォーラム)

「続・夕陽のガンマン」「ニュー・シネマ・パラダイス」などで知られた映画音楽の巨匠、エンニオ・モリコーネさんが7月6日、91歳で死去した。軽視されていたイタリア製西部劇の「マカロニ・ウエスタン」を一級の作品に押し上げたのは、セルジオ・レオーネ監督の大胆で巧みな演出、主演クリント・イーストウッドのスター性とともに、変幻自在で叙情性漂うモリコーネさんの音楽があってこそだった。

ローマで生まれ、1961年に映画音楽の作曲家としてキャリアをスタートした。幼なじみのレオーネ監督とコンビを組んだ「荒野の用心棒」(64年)で注目され、その後、マカロニ・ウエスタンのブームを巻き起こした。荒野に響く動物の鳴き声を思わせるリフを取り入れた「続・夕陽のガンマン」(66年)や、映画監督が少年時代の映画技師との交流を回想するジュゼッペ・トルナトーレ監督「ニュー・シネマ・パラダイス」(88年)の郷愁を誘うメロディーはモリコーネさんの代表曲だ。

ギャングたちの友情と裏切りを描いた「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」(84年)の音楽も忘れがたい。荒っぽいシーンの連続だが、そこに哀愁を帯びた旋律が流れると悪事を働いて生き抜くしかなかった男たちの悲哀が浮かんだ。「ミッション」(86年)、「アンタッチャブル」(87年)、「ヘイトフル・エイト」(2015年)など数多くの映画やテレビの音楽を手がけた。

映画音楽を演奏する交響楽団を自ら指揮する公演で04年に初来日し、記者は取材の機会を得た。スーツをきちんと着こなし、威厳を漂わせた風貌が印象に残る。「映画音楽はストーリーに縛られてはいけない。実は想像以上に作曲家の性格や思いが色濃く反映されている。本当の作曲家とはそういうものだ」と力強く語り、だからこそ「作曲家は音楽を深く勉強しなければならない」と訴えた。

13年、後半生で最も多く仕事を共にしたトルナトーレ監督にモリコーネさんとの協働の様子を尋ねると「普通の作曲家とは全く違う」。トルナトーレ監督が脚本を書き上げると、すぐにモリコーネさんに届け、映画のテーマや人物像を徹底的に語り合い、その場でピアノを演奏するなどして2人で必要な音楽を探っていくという。音楽を完成させると楽団を呼び、モリコーネさんの指揮で録音する。

「撮影の前に音楽が完成しているんです」とトルナトーレ監督。撮影と編集を終えると再びモリコーネさんの出番となり、音楽を入れるタイミングを検討し、最後にまた楽団を呼んで録音し直す。「音楽を誰に頼もうか考えたこともない。モリコーネさんとは互いにリスペクトし合う関係で、彼が音楽を担当することは私にとって自然なことなのです」と語っていた。

(関原のり子)

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