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ボール・卓球台・シャトル… 競技彩る黒子に日本の技

Tokyoオリパラ
2020/7/11 2:00
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住友ゴム工業のテニスボールは多くの国際大会で使われている(2019年、全豪オープンの大坂なおみ選手)=ロイター

住友ゴム工業のテニスボールは多くの国際大会で使われている(2019年、全豪オープンの大坂なおみ選手)=ロイター

東京五輪・パラリンピックの開催を待つのはアスリートだけではない。ボールなどの競技用備品も「黒子」として大会を彩る。重さや反発力などのわずかな違いが、試合の趨勢を左右する。極めて安定した品質が求められる数々の備品には日本独自の技術も息づく。

「ダンロップ」ブランドを手掛ける住友ゴム工業の硬式テニスボールは、大坂なおみ選手が優勝した2019年の全豪オープンなど多くの国際大会で使われてきた。「あくまで黒子。目立つ存在であってはいけない」。旭野昌宏テニスビジネス部長はこう話す。

全豪オープンでも使われた住友ゴム工業のテニスボール=同社提供

全豪オープンでも使われた住友ゴム工業のテニスボール=同社提供

テニスボールは「コア」と呼ばれるゴムの中空にガスを充填し、綿にウールとナイロンを織り込んだ黄色いフェルトで覆って作る。ガスは半球状のゴムを接着してコアを作る際に機械で注入するのが一般的だが、同社はコアの中にあらかじめ仕込んだ薬剤を接着後に加熱し、窒素ガスを発生させる。薬剤量を一定に保つことで品質のばらつきを極力まで抑える独自技術だ。

コアの原料の配合やフェルトの表面のけば立たせ方でも、球速や反発力などに微妙な違いが出る。19年全豪オープンでは20種類のボールを試作し、本番ではラリーが続く好ゲームが増えたと評価された。「選手のプレーが良かったというのが、メーカーにとって最高の評価」(旭野さん)。同社のボールは東京五輪でも使われる予定だ。

三英が手掛ける最新の卓球台=同社提供

三英が手掛ける最新の卓球台=同社提供

19世紀に英国の貴族に流行した娯楽が源流の卓球。ピンポン球を打ち合う台は当時の食卓とほぼ同じサイズとされるが、性能は時代と共に進化した。16年リオデジャネイロ五輪などに供給した三英(千葉県流山市)の三浦慎社長は「わずかでもイレギュラーする場所があれば選手に狙われ、試合の流れが変わる。選手との力比べだ」と語る。

天板は木製で、長さ2.74メートル、幅1.525メートル。選手の打ったピンポン球がどこに落ちても同じように弾むようにするには、表面のわずかな反りも許されない。それを支える技術の一つが天板の構造にある。

素材は木片を接着剤と混ぜて圧縮した木質ボードが一般的だが、同社の最高級品は薄い板を木目が格子状に重なるように何層も貼り合わせた積層材を使う。それを小分けにし、枠の中に敷き詰めて反発力のばらつきや吸湿による膨張を防ぐ。機械化が難しく、多くの工程は職人の手作業だ。

近年はテレビ中継が盛んになり卓球台のデザイン性も重視されるようになった。最新製品は脚がスタイリッシュなT字型。試作段階では球が接触した際のわずかな揺れが課題となったが、中に厚い鉄板を使うなどして安定させた。東京大会でその姿形も注目されそうだ。

シャトルコックの製造方法について説明するヨネックスの金ケ崎雄太さん

シャトルコックの製造方法について説明するヨネックスの金ケ崎雄太さん

日本勢のメダルラッシュが期待される競技の一つ、バドミントンのシャトルコックにも日本の技術が生きている。五輪で長年採用されてきたヨネックスの製品は均質性に加え、高い耐久性で知られる。

現在はトップ選手が打つシャトルの初速は時速400キロを超える。同社シャトル製造部の金ケ崎雄太係長は「強い力で打たれても乱れず飛ぶよう、品質管理を徹底している」と明かす。

その代表が熟練検査員の目視による飛行検査だ。全体の形状や羽根の広がりなどを手作業で細かく調整した製品であっても、検査員が飛行距離や回転数などを逐一確認すると、国際大会向けに出荷できるのは3割ほどに減るという。落下点のわずかな差が明暗を分ける国際舞台を地道な作業が支えている。

(朝倉侑平)

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